人生において、家族ががんを患うことがあります。
患者さん本人に大きな負担がかかることはもちろんですが、患者さんを支える家族にも変化が起こります。
現在は通院しながら治療を受ける患者さんも多いですが、それでも確実に生活スタイルは病気前とは変化するでしょう。
もし大切な家族ががんになったら、患者さんと患者さんの家族の生活はどのように変化するのでしょうか。
今回は、家族ががんになったときの生活の変化について見ていきましょう。
患者さんの家族に起こる変化と負担とは
家族ががんと診断され、がんと向き合うことになったときに、どのような変化や負担が生まれるのでしょうか。
生活面と精神面のそれぞれを見ていきましょう。
生活面の変化や負担
がんの治療が始まると、通院の場合は患者さんの病院への送迎や介助が必要になります。
また、入院になると入院中の洗濯や日用品などの買い物が、家族の日々の生活のタスクに加わります。
これまでなかったタスクが追加されることにより、以前の生活と比べると1日のタイムスケジュールが大きく変化するでしょう。
家事を患者さんがしていた場合、ほとんど家族が担当することになることが予想され、患者さんの治療費などの経済的負担も発生します。
場合によっては、患者さんの入院や治療の介助サポートのために仕事をセーブする必要が出てくる可能性もあるでしょう。
精神面の変化や負担
突然のがんの診断とともに生活のタスクが増えた家族が、気持ちにも時間にも余裕がない中で、患者さんの気持ちにすぐに寄り添うのは非常に難しいでしょう。
家族は当事者ではない分、はじめは患者さんの体調の変化など、うまく理解してあげられない葛藤にたくさん悩むかもしれません。
そのような中で、つい無理をしてしまい、家族も体調を崩してしまうことがあります。
患者さんの家族は、「第二の患者」とも言われているため、自分自身のことも大切にして必要な支援を求めることも大切です。
家族が心がけるべき考え方と姿勢とは
家族ががんを患った場合に、どのような考え方や姿勢でいればいいのでしょうか。
がんによって、患者さんや家族を取り巻く環境が大きく変わることで、患者さんも家族も気持ちが大きく不安定になってしまいがちです。
そんなときだからこそ、なるべく普段通りの生活を意識することが大切です。
また、家族が落ち着いた気持ちでいられると、患者さんが不安定な時も、ネガティブな感情に引っ張られる事がなくなります。
そして家族が普段通りに接することで、患者さんも安心することができます。
さらに、家族は、患者さんの病気について正しく学ぶことも大切です。
今ではインターネットで簡単に膨大な情報を入手できます。
しかし、それがすべて正しい情報だとは限りません。
医師の話を聞いたりしながらも、インターネットで得た情報をすべて鵜呑みにせず、本当に正しい情報を選別して取り入れていきましょう。
抗がん剤治療の副作用も、何を使用するかによって、ある程度副作用の内容や発生時期が分かります。
少しでも理解することで、患者さんが今どのような状態なのかを把握することができるでしょう。
闘病する家族に対し、ときに自身が無力だと感じてしまうことがあるかもしれませんが、あまり思いつめないようにしましょう。
家族が病気になったのは、誰のせいでもありません。
患者さんのそばにいることや、日常のサポートだけでも十分に患者さんの支えになります。
何か特別なことをしようとするのではなく、一定の生活リズムを意識することで、気持ちも落ち着いてくるでしょう。そして患者さんのそばにいてあげることこそが、安心感を与えられる一番のサポートです。
家族も患者さんも自分らしく生きていくために
患者さんも家族も自分らしく生活していくためには、いつでも相談できる窓口を確保しておいたり、自分を大切にすることを意識したりすることが大切です。
がん相談支援センターに相談する
がん相談支援センターは全国にある、誰でも無料・匿名でがんに関することを相談できる窓口です。
患者さんだけでなく、家族も相談可能です。
がんの疑いがあるときや、診断や治療の状況にかかわらず、自分の好きなタイミングで利用できます。
診断や治療・副作用をはじめ、療養生活や社会復帰、さらにはお金のことや学校のことまで幅広く相談できます。
家族が自分自身を大事にする
患者さんの家族も、患者さんと同じように辛さや疲れを感じるのは当然のことです。
患者さんだけでなく、家族も辛さを我慢したり無理をすることはあまりよくありません。
医療機関などには、そんな患者さんや家族のためのサロンを設けているところも増えてきています。
同じような悩みを持つ方と話をすることで、共感し合えたり、気持ちを整理できるでしょう。
がんの治療は長期戦になることが多いため、頑張りすぎず自分自身を大事にすることが大切です。
家族として患者さんにどう向き合うかが大事
もし、家族ががんと診断されたらどうしたらいいのでしょうか。
家族として、何ができるのでしょうか。突然起こる状況は、なかなか受け入れることができないかもしれません。
心身の状態や生活の大きな変化に、気持ちが落ち込み不安を抱くのは、家族も患者さん本人も同じです。
これからのことを考えて不安になることも、落ち込むこともたくさんあるでしょう。
家族として、患者さんをしっかりサポートできるのだろうかと、不安になることもあるかもしれません。
そんなときは相談窓口などをうまく利用するなど、一人で抱え込まずに誰かに頼れる環境にいることが大切です。
家族として、気持ちにゆとりをもつことは、患者さんに寄り添ううえで非常に大切です。
患者さんを大切に思う気持ちと同様に、自分自身の身体や気持ちも大切にして生活することで、患者さんへの大きな支えにもなっていくでしょう。