おまもり認定アートメイク看護師とは、高度なアートメイクの技術を提供できる、いわゆるベテランのアートメイクアーティストと呼ばれる存在です。
アートメイクだけでなく抗がん剤などの知識もあり、安心して施術を受けられる存在でもあります。
がん治療を受けている・控えている方の中には「脱毛について心配している」「対策に悩んでいる」という方もいるのではないでしょうか。
そんな方々へ向けて、おまもりアートメイクでは神奈川県藤沢市でアートメイクアーティストとして活躍する蟹江麻希さんを紹介していきます。
神奈川県湘南地区で悩みを抱えている、もしくはその他の地域でもアートメイクに関心のある患者さんは、ぜひ参考にご覧ください。
<SNS情報>
蟹江さんインスタグラム
https://www.instagram.com/artmake_kanie
藤沢ガーデンクリニック ARTMAKE
https://www.instagram.com/fujisawagardenclinic
おまもり認定アートメイク看護師 蟹江麻希さんのご紹介
―まずは、これまでの経歴を含めた自己紹介をお願いいたします。
[蟹江]
看護師としての経歴は脳外科などの外科やICU/CCU、心療内科、消化器内科や保健室の先生などさまざまなところで働いていました。
ーさまざまな科で働かれていたんですね。
[蟹江]
本当は一つの分野で専門性を高めていきたかったのですが、結婚、育児、介護などそれぞれのライフステージで家族を大事にできるように職場を変えてきました。
息子が小学校に上がった頃、今度は両親の体調が悪くなり、人生で一息つける場面ってないんだなぁと感じ、時期を待たずに「面白そう」と思える仕事をしようと考え、美容皮膚科の世界に入りました。
ー初めはアートメイクではなく美容皮膚科で働かれていたんですね。
[蟹江]
美容皮膚科でレーザー治療や脱毛などの施術を行っていました。湘南地区は海が近く、肌に悩みを抱えている方が多かったのもあり、レーザー治療などの美容皮膚科の需要は高くお客様も多く来られていました。
その当時、指導にあたっていた看護師から、アートメイクがやりたいという思いを聞いて、2020年に湘南台の湘南藤沢心臓血管クリニックで、その看護師と二人でアートメイクを始め、アートメイク部門を立ち上げました。
ー湘南台の地域では当時アートメイクの施術を提供しているクリニックは多かったですか?
[蟹江]
あまり多くなかったです。ここ数年でかなり増えていますけど(笑)。
「ここらへんでアートメイクするなら湘南台…」と言われるようになった頃、同クリニックが分院を開院する運びとなり、2022年に藤沢市の藤沢ガーデンクリニックでアートメイク提供を始めました。
※右画像は藤沢ガーデンクリニック外観
ーアートメイクまで至った中で、おまもりアートメイクのような、脱毛症や抗がん剤などの疾患を理由に悩みを抱えている方へアートメイクを提供したいと思われたのはどのようなきっかけがありましたか?
[蟹江]
湘南藤沢心臓血管クリニックで働いていた時も、白斑症などの疾患が理由でアートメイクを受けたい方が来院されていました。そういう方へのアートメイクにとてもやりがいを感じたので、藤沢ガーデンクリニックを開院してからは、脱毛症や抗がん剤などによる脱毛、手指や目が不自由な方へアートメイクを届けたいという思いを発信し始めました。
◼️おまもりアートメイク(弊社団)へ加入したきっかけや当時の思いを教えてください。
[蟹江]
SNSやタウン誌などで、アピアランスケアとしてのアートメイクについて発信していたら、そういった患者様がだいぶ足を運んでくださるようになりました。
その中で「大手の美容皮膚科に問い合わせたら断られてしまった」とか「皮膚科の先生にアートメイクなんてやめとけと言われた」という方がいらしたり、抗がん剤治療が終わってからいらした方が「アートメイクって美容のものだと思っていたから、蟹江さんのインスタを見てはじめて、私のような人もアートメイクしていいんだと思ったんです」という声を聞きました。
ー藤沢ガーデンクリニックのインスタグラムを見ましたが、症例が一目でわかるようになっていて、患者さまのお声も見られるようになっていてとても見やすいと感じました!
[蟹江]
ありがとうございます。ただ十分だとは思っていません。アートメイクが必要な方にまだまだ認知が広まってないことや、認知が足りないから、最適なタイミングで施術がうけられないこと、また先ほどお話ししたように脱毛症や抗がん剤治療をする医療側の理解も乏しいためか、医師によってアートメイクを否定されたり、アートメイクが美容分野に偏っていることを感じ、一人での発信活動に限界ともどかしさを感じていました。
そんな時、インスタグラムでおまもりアートメイクを見つけて、「同じこと言っている人がいる。」と思いました。
手指が不自由な方へ向けての在宅医療アートメイクに関しても、病院への広報活動をしたいと思っていたんですが、その材料がなくてできていなくて。
ー営業には売り出すためのホームページやパンフレットが必要ですよね。
[蟹江]
なので、おまもりアートメイクにはしっかりしたホームページや作り込まれたパンフレットなど、私が欲しいけど持ってなかったものがあり、すごくまぶしく感じました。ホームページなどを作る大変さは痛感していたので「どのくらいの人たちが裏で関わっているんだろう」などの部分も気になったり(笑)。
ー同じ苦労をわかっているからこそ感じたものですね。
アピアランスケアに対する思いは完全に同じだったので、私でも手伝えることがあれば手伝いたい、人と一緒に活動することでより多くの人たちに認知を広めたい、と思いご連絡させていただきました。
抗がん剤治療をされて脱毛を経験された方と関わった中でのエピソード
―実際に抗がん剤治療をされて脱毛を経験された方と関わった中でのエピソードで、印象的なものについて差し支えのない範囲で教えてください。
[蟹江]
この質問を伺って思い浮かんだのが、あまり良いエピソードではなくて。
ーどのようなものでしょうか?
[蟹江]
アートメイクを受けられた抗がん剤治療中の方々の中には、二回目のご来院ができなかった方もいるんです。それで命の儚さを感じて切なく思っていました。
ー長く語るようなエピソードではなくても印象的ですよね。
[蟹江]
あとはエピソードでいうと、ある患者様のお話があります。
「家ではウィッグなんてつけないじゃない?メイクもしないじゃない?
だからね、夜ふいに窓とか見たときにね、のっぺらぼうが映るのよー。怖いでしょ(笑)。
それがね、アートメイクしたらね、ちゃんと顔があったのよ(笑)。
ちゃんと人の顔に見えたのよ。眉は顔の額縁ってよく言うわよねぇ。」
と笑っておられたことが印象的でした。
闘病の日々の中で、小さな笑いを提供できたことも嬉しかったのですが、人ってふと窓や食器棚に映った自分が目に入った瞬間に、自分の病気や容姿の変化を再認識してついついため息が出たり、少し落ち込んだりするものですよね。加齢によるシワが目に入ったり、自分こんな目が小さかったっけ?って思ったりしますよね。
ーなんでかわからないですが、自分の気にしているところや嫌なところばかり目につきますよね…。
[蟹江]
たかが眉ですけど、アートメイクでそういう機会が少しでも減って、少しでもご機嫌に過ごしていただけたらいいなと思っています。
ー抗がん剤治療をされている患者さまと臨床で関わった時に感じていましたが、悲しさを紛らわすために笑い飛ばしたりしている方もいたのを思い出しました。しかしそういった中でもきっと悲しかったり落ち込んだりする瞬間ってありますよね。
蟹江さんのアートメイクによって、ふとした瞬間に感じる悲しさや落ち込みが減ると嬉しいですね。
[蟹江]
あとは脱毛症の方でも、最初に眉の形を決める為に毛並みで眉を描いただけで、嬉し泣きで涙を流された方がいたのも印象に残っています。
※左画像は脱毛症の方の症例
ーたくさん素敵なお話を教えていただきありがとうございます。直接的な治療ではないですけど、心理的な面ですごく寄り添える施術だなあと感じました。
神奈川県藤沢市でのアピアランスケアの現状について
■神奈川県藤沢市でアピアランスケアやアートメイクの認知度に関して感じる課題感などあれば教えてください
(実情や壁と感じている点など)
[蟹江]
先にも述べましたが、脱毛症治療、がん治療をしている先生やスタッフの皆様が、アートメイクをよく知らないことが課題と感じます。
あと今は神奈川県の湘南地区では、たくさんのアートメイクを提供するクリニックやサロン、美容院が増えているんですが。
ー以前より知名度も上がり需要も高まってきているんでしょうか。
[蟹江]
ただ美容皮膚科でアートメイク提供をしているクリニックでも、脱毛症治療、がん治療を受けている方の施術を断られている実情があります。
そしてアートメイク屋さんが多すぎて、どこなら良いのか患者さまご自身が調べきれないのも課題と感じています。
ー増えすぎても金額だけで判断するわけにいかないですし、患者さまも自分に合ったクリニックやサロンを選べないですよね。
[蟹江]
これまでの発信活動などで、脱毛症や白斑症の方、抗がん剤治療を受けている方もアートメイクができるということが届いている部分もあるんですが、まだ十分ではなくて。さらに今後も、多くの方に伝えられたら良いと思っています。
※右画像は藤沢ガーデンクリニック内観
おまもり認定アートメイク看護師として・アートメイクアーティストとしてのアピアランスケアに対する思い
■おまもり認定アートメイク看護師として・アートメイクアーティストとしてのアピアランスケアに対する思いを率直に教えてください。
[蟹江]
これ以上にやりがいのあるアートメイクはないと感じています。
実はアートメイクをやることで、最初は焦りも感じていました。医療現場から離れていく不安も感じましたし、アートメイク自体が本当に人の役に立つものなのか疑問を持った時期もあり(笑)
アナと雪の女王の最初の頃のエルサのような気持ちです。自分を信じられず、力を持て余しているような(笑)。
ーわかりやすい例えです(笑)
[蟹江]
その後知識と技術を研鑽して、自分なりのアートメイクを確立しました。その上で、今はアートメイクは「医療」なのだから、医療として提供するべき方へは積極的に届けるべき。そして看護師である私たちにはそれができるはず。と考えています。
ーこれまでの蟹江様の臨床経験を伺っていると、より看護師としての「責任感」や「使命感」が伝わりました。
■今後のビジョンや展望などはありますか?(抗がん剤治療をする方へさらに取り組みを伝えていきたいなど)
[蟹江]
私は皮膚科分野にもアートメイクの認知をひろげていきたいと考えています。
病気が理由でアピアランスケアが必要な方には、アートメイク助成金が得られるようにするのが私自身の最終目標と考えています。
ー経済的な負担ってとても辛いですよね。
そうなんです。脱毛症の治療って自費診療のものが多いですし、ウィッグも消耗品なのに1つ数万円以上のお値段なので、経済的負担が大きいと思います。脱毛症の患者様は若い方も多くて、仕事や子育てが大変だったりすると、自分自身のことは後回しにする方もいらして。そういったのを減らしていけると良いと考えています。
あとは、抗がん剤治療中の各段階での肌、脱毛症の肌、白斑症の肌への理解を深め、アートメイク技術に関する傾向と対策を模索していきたいと考えています。
※左画像は施術中の蟹江さん
ー治療をされている方のアートメイクは難しさを感じますか?
[蟹江]
やはり肌の状態が違うので、赤みが出やすかったり色の残り方が違ったりと違いを感じます。また抗がん剤治療の方でも何クール目なのかによって異なるため、多くの方へ認知を深めていきアートメイクを提供していく、また全国のおまもり認定アートメイク看護師さんたちとたくさん連携をとっていくことで、技術力アップを図っていきたいと思っています。
最後に患者さんへの思いを一言
■最後に抗がん剤治療を受けられる患者さん、そしてアートメイクに関心を持っている患者さんに対してメッセージをお願いいたします。
[蟹江]
病気の有無にかかわらず、眉毛の形で、印象は全然変わって見えます。
黄金比だけを考えたテンプレートのような眉ではなく、その人に合った一番「自分らしい」になるように、眉の形を決めています。
アートメイクした日が、楽しい嬉しい一日になりますように。
そしてアートメイクしてからの日々が、今までより楽になり、ご機嫌な時間が増えますように。アートメイクを通して、そういうお手伝いができたら幸せです。
ーとても素敵なお話をありがとうございました!
これからもアートメイクの認知度が高まっていき多くの疾患で悩む方へ届くことを願っております。
神奈川県藤沢市 蟹江麻希さんにアートメイクの相談をしたい方へ
蟹江さんにアートメイクの相談をしたい方は、下記インスタグラムからDMを送ってください。
<SNS情報>
蟹江さんインスタグラム
https://www.instagram.com/artmake_kanie
藤沢ガーデンクリニック ARTMAKE
https://www.instagram.com/fujisawagardenclinic
他エリアを含めて、よりゆっくり相談をしたい方は、おまもりアートメイク専用のLINEにご登録ください。相談窓口をご用意しております。
取材したライター
鬼頭 怜那 -Rena Kito-
(正看護師・産業心理カウンセラー)
小児科総合病院の産科に就職。障害を持って生まれる胎児を身篭る母体の管理の病棟で勤務後、翌年精神科病棟の急性期、慢性期で勤務。
さまざまな精神疾患の患者の看護や薬理病理の勉強、身体疾患の患者も多く全身管理も行う。
その後精神科特化の訪問看護ステーションにて勤務。地域で生きる精神科疾患の患者の看護と地域連携、他職種連携を行う。
現在は看護師ライターとして医療記事の執筆や編集を行っている。