おまもり認定アートメイク看護師とは、高度なアートメイクの技術を提供できる、いわゆるベテランのアートメイクアーティストと呼ばれる存在です。
アートメイクだけでなく抗がん剤などの知識もあり、安心して施術を受けられる存在でもあります。がん治療を受けている・控えている方の中には「脱毛について心配している」「対策に悩んでいる」という方もいるのではないでしょうか。
そんな方々へ向けて、おまもりアートメイクでは広島県広島市でアートメイクアーティストとして活躍する井上志麻さんを紹介していきます
広島県広島市で悩みを抱えている、もしくはその他の地域でもアートメイクに関心のある患者さんは、ぜひ参考にご覧ください。
おまもり認定アートメイク看護師 井上志麻さんのご紹介
<SNS情報>
井上さんインスタグラム
https://www.instagram.com/artmake_inoue.s/
YAYOI CLINIC
https://yayoiclinic.jp/
―これまでの経歴や現在所属している病院・クリニックなどを含めた自己紹介をお願いいたします。
[井上]
私は32歳で看護師免許を取得しました。
ーそれまで何のお仕事をされていましたか?
[井上]
それまではアパレルとOLをやっていました。ただリーマンショックがあって、当時派遣の事務として働いていたんですが、母に安定する職種で働いたらと言われまして。その時に看護師になるのを応援してもらったので、看護師を目指すことになりました。
看護師免許取得後、初めは整形外科に就職しましたが、元々美容が好きだったので半年ほどで整形外科をやめて、美容皮膚科にすぐ転職しました。脱毛クリニックや肌管理を行うクリニック、またその中でアートメイクを学ばせていただいたりなど、これまで美容皮膚科には13年携わっています。
ー長く美容の業界で働かれていたんですね。
[井上]
そうですね。アートメイクには計6年携わっていて、今はフリーランスとして委託の形で、広島市のヤヨイクリニックでアートメイクをしております。
◼️おまもりアートメイク(弊社団)へ加入したきっかけや当時の思いを教えてください。
[井上]
私がアートメイクを始めようと思ったきっかけは母の乳がん治療でした。抗がん剤の副作用で全身の毛が抜け落ち眉毛を描くのが大変そうでした。ただ、当時はアートメイクの技術を取得していなかったのでただ見守ることしかできず、とても辛かったのを覚えています。
その時から、がん治療によって同じ思いをされている方に笑顔になっていただきたいと思い始めました。
また母を見ていて感じたことでもありますが、がんの治療はかなりの費用がかかりますよね。アートメイクを始めてからは、抗がん剤による脱毛がある方、無毛症、脱毛症の方にはサポート価格で提供しておりました。
ーがん治療は働けない状況であるのも含め、多くの方がきっと非常に高額に感じていますよね。その中でアートメイクの費用を捻出するのは大変なことかと思います
[井上]
今は2人に1人ががんになると言われているので、もっと必要としている方が多くいるはずと感じています。アートメイクという選択肢を広めたいと思っていた矢先、おまもりアートメイクという活動があることをこの社団に入られている他の看護師の方のインスタから知り、私も貢献したいと思い志願しました。
抗がん剤治療をされて脱毛を経験された方と関わった中でのエピソード
■実際に抗がん剤治療をされて脱毛を経験された方と関わった中でのエピソードで、印象的なものについて差し支えのない範囲で教えてください。
[井上]
とても印象的で忘れられないエピソードがあります。
「先週がんと告知されてすぐ抗がん剤治療が始まることにまだ心が追い付かない」と号泣された患者様がアートメイクに来られました。ただ少し珍しいお名前の方だったのもあり、たまたまクリニックのスタッフが小学校時代の担任の先生ではないか?と気づいて話しかけたところ、本当に担任の先生でして。35年ぶりの再会をしました。
その先生である患者様は、まだまだ先生としての経験が浅かった頃の生徒さんだったようで、患者様もスタッフのことを覚えておられました。抱き合って涙を流しながら再会を喜ばれていたのが印象的です。
ー35年ぶりの奇跡的な再会ですね。
[井上]
施術中も涙を流しながら、患者様が「ここに来たから会えた、治療頑張るご褒美です。」と言われていたエピソードが印象に残っています。私の中ではドラマのような再会でした。
アピアランスアートメイクをしていて良かったと思えたエピソードでした。
ーずっと施術中も涙を流されていたのですね。感動の涙でしょうか?
[井上]
そうですね、感動の涙と、がんの宣告を受けたばかりというご状況での辛さの涙とどちらもですね。ずっとお体をさすりながらお話を聞いていたのを覚えています。
広島県広島市でのアピアランスケアの現状について
■地域でアピアランスケアやアートメイクの認知度に関して感じる課題感などあれば教えてください
(実情や壁と感じている点など)
[井上]
広島市でアピアランスアートメイクを提供しているクリニックは、当院含め2カ所あります。
当院以外にアピアランスケア専門美容室「FOR AC」さんもありますが、やはり“アピアランスケア”という言葉を知らない方が多い印象です。
ーなかなか知名度の部分は難しい課題でしょうか。
[井上]
そうですね。FOR ACさんでもパンフレットを置いていただけたりとご協力いただいているのですが、大きな病院でパンフレットを置いてもらうのがなかなか難しくて。
ーアートメイク自体の知名度はいかがでしょうか?
[井上]
広島市のほとんどの美容皮膚科ではアートメイクを導入しています。
ここ2年くらいで一気に増えましたが、だからこそ、どこのクリニックに行ったら分からないというお声をよくききます。
ひと昔のような海苔を貼ったような眉になったり、MRIは受けれないのでしょうか?と質問もいただくので、現代のアートメイクをもっと知っていただくことが重要と思っています。
ー昔のイメージを払拭することが知名度を上げる中で大切ですね。
[井上]
あとは、抗がん剤での脱毛にアートメイクという選択肢があるということを知らない病院の先生が多いのが現状です。総合病院などにパンフレットを設置させていただくともっと認知度があがると思うのですが現状難しい部分があり、やはりここが課題点だと思っています。ただ、患者様にこのお話をすると、数名の患者様が「主治医にパンフレット渡しときました!」「ケモ室の看護師さんにパンフレット渡しときました!」と患者様が協力してくれることがありました。
(右:施術中の井上さん)
ー予想外ですが、実際に施術を受けた方が協力していただけるのは説得力が高くてありがたいですね。
[井上]
そうですね、施術を受けられた患者様がそのような形で協力してくださるのは、非常にありがたく感じました。
おまもり認定アートメイク看護師として・アートメイクアーティストとしてのアピアランスケアに対する思い
■おまもり認定アートメイク看護師として・アートメイクアーティストとしてのアピアランスケアに対する思いを率直に教えてください。
[井上]
失うものが多いがん治療ですが、アートメイクをすることで笑顔を取り戻せ、心のケアに繋がっていただけたらと思っています。
(左:胃がん治療中の方のアートメイク症例)
ーお母様ががんになられたご経験も含めてそのように感じられたのでしょうか。
[井上]
そうですね。身近で見てきたので。あとは、なかなかがんのことって、会社の上司などだけではなく、ご友人にも話せなかったりする方が多くて、抱え込んでしまう方も多いと感じています。
なので、辛い思いを抱え込みすぎず、思いを打ち明けていただけて少しでも笑顔を取り戻せるようになっていただけたらと思っています。
ー心もケアも大事なアピアランスケアと考えられているのですね。素敵です。
■今後のビジョンや展望などはありますか?(抗がん剤治療をする方へさらに取り組みを伝えていきたい など)
[井上]
先日、広島市で開催された『がん防災イベント』にパンフレット設置で参加させていただきました。友人ががんで、娘ががんで、母ががんで、知り合いががんで~、とブースにたくさんの方が来ていていただきパンフレットをお渡しすることができました。
ーイベントなどはさまざまな方に知っていただく良い機会ですね。
[井上]
あとは乳がん学会にも参加して、日進月歩で変わっていく治療のアップデートもしていけたらと思っています。
10年以上前に治療を受けていた母の頃と、乳がんの治療も大きく変わっていると感じています。
(右:大腸がん治療中の方のアートメイク症例)
ーがん治療に関しては日進月歩で変化していきますし、その変化に医療者もついていく必要がありますよね。
最後に患者さんへの思いを一言
■最後に抗がん剤治療を受けられる患者さん、そしてアートメイクに関心を持っている患者さんに対してメッセージをお願いいたします。
[井上]
患者様の自眉、骨格筋肉や雰囲気全体を見て整顔美眉を作っていきます。施術直後からナチュラルですので安心して受けていただければと思います。
また、抗がん剤治療をすることを、友人や職場の人に内緒にしてひっそりと治療されている方もいらっしゃいます。アートメイクの施術時間が、誰にも言えない思いを吐き出せる場所として安心してご来院いただけたらと思います。
ーご自身の経験を踏まえて、患者様に寄り添って施術をされている井上さんのアートメイクは、多くの方の心も救っているのだと感じました。ありがとうございました。
広島県広島市 井上志麻さんにアートメイクの相談をしたい方
井上さんにアートメイクの相談をしたい方は、下記インスタグラムからDMを送ってください。
<SNS情報>
井上さんインスタグラム
https://www.instagram.com/artmake_inoue.s/
YAYOI CLINIC
https://yayoiclinic.jp/
他エリアを含めて、よりゆっくり相談をしたい方は、おまもりアートメイク専用のLINEにご登録ください。相談窓口をご用意しております。
取材したライター
鬼頭 怜那 -Rena Kito-
(正看護師・産業心理カウンセラー)
小児科総合病院の産科に就職。障害を持って生まれる胎児を身篭る母体の管理の病棟で勤務後、翌年精神科病棟の急性期、慢性期で勤務。
さまざまな精神疾患の患者の看護や薬理病理の勉強、身体疾患の患者も多く全身管理も行う。
その後精神科特化の訪問看護ステーションにて勤務。地域で生きる精神科疾患の患者の看護と地域連携、他職種連携を行う。
現在は看護師ライターとして医療記事の執筆や編集を行っている。