医療美容の力でアピアランスケアを|ランブス医療美容認定協会様の『医療美容師』育成への想い

がんやその治療に伴う外見の変化における苦痛を、医学・整容・心理社会的な側面から支援することを「アピアランスケア」と呼びます。
おまもり認定アートメイク看護師の方々が提供する医療アートメイクもアピアランスケアの一つです。
今回は、アピアランスの知識をもった医療美容師を育成されている「一般社団法人 ランブス医療美容認定協会」様へ、活動についてお伺いさせていただきました。
がん治療を受けている・控えている方の中には外見の変化に不安を抱えている方も少なくないのではないでしょうか。
またウィッグの購入を検討しようと考えているものの、どこで購入するべきか、どのように選べば良いのかなど、ウィッグについての不安や悩みを抱える方もいるかもしれません。
ランブス様は医療美容師の人材育成だけではなく、サロン創りや認定サロンの普及にも力を入れている団体です。
全国に提携先の美容室は100件存在し、ランブスで認定を受けた医療美容師600人が全国で活躍しています。
アピアランスケアの選択肢の一つとして、医療美容に力を入れているランブス様について気になる方はぜひご覧ください。
①自己紹介
読者の方へのご紹介の意味も含め、「一般社団法人 ランブス医療美容認定協会」様のご紹介と豊様の自己紹介をお願いいたします。

豊様:ランブス医療美容認定協会代表理事の豊です。
私は美容師として20年間活動してきましたが、2008年8月に直腸がんが見つかり、開腹手術と一時的なストマ(人工肛門)の装着を経験しました。
がん当事者になったのをきっかけに患者会として「こんいろリボンの会」を立ち上げました。
その後NPO法人がん患者団体支援機構の理事にも就任し毎月、東京医科歯科大学で行われる会合にも参加していました。
そこでは私が美容師であることもお伝えしていたのですが、役員の方にウィッグの簡単なアレンジを行ったところ、とても喜んでいただけて。その様子を見ていた他の役員の強い後押しもあり、地元(兵庫県神戸市垂水区)で2009年にウィッグ似合わせ屋さんという形でお店を出すことにしました。
ただ何をやっているかはわからないのもあり、お客さんも3ヶ月に1人くらいでして。
そんな中でがんサポートというがん患者支援団体の雑誌に取り上げていただきました。
がん患者の方々のバイブルのような雑誌だったので、急に滋賀県や和歌山県、香川県など遠方からのお客様も多く来ていただけるようになりました。
おまもりアートメイク代表石原(以下石原と記載):雑誌を通して多くのがん患者の方々の目に届いたんですね。
豊様:皆様いろんな悩みを抱えておられるんですが、「似合わせてもらえますか?」というお声が多く、
ウィッグを買ったけど似合っていなくて辛いと感じている方が多いのが分かったんですね。
私は美容師としてお客様の髪質やお顔の輪郭などのバランスを見ながらスタイルをつくりますが、
その目線から見るとウィッグは不自然なものが圧倒的に多いのです。
そこで団体を作って、多くの美容師さんに協力してもらおうと思い、できたのがランブスです。
これが2010年のランブス様創立のきっかけなんですね。
ご自身の直腸がんになった時のご経験から社団の立ち上げに至ったとのことですが、がん患者当事者としての、当時の思いを教えてください。
豊様:最初は大阪府立成人病センターというところにいました。当時地下に床屋しかない病院でした。
「今から髪の毛が抜けるから頭刈ってもらって」と看護師さんから聞いて皆地下に髪の毛を切りに行くんですね。
その中で女性の方が、髪の毛を切りに行った後ニット帽をとって「『高倉健』みたいになってもうたわ」って笑いながら見せられて四角く角刈りみたいになってたんです。
笑ってほしくて言っていると感じたので、みんなで笑ったんですが美容師としての仕事をしている身としては笑えなかったんですね。「あかんやろ」と。
髪が抜けるからといっても、ベリーショットの可愛らしいスタイルもたくさんあるので。そこが一番の医療美容師として活動していくきっかけでしたね。
石原:脱毛するといっても抜けるまでに時間はありますし、そこまでの間でもヘアスタイルは楽しみたいですよね。
豊様:抜けるからといって角刈りみたいな短すぎる髪型や丸刈りだと、かえってベッドに髪の毛が散らかったりしてしまうので、ある程度髪の毛髪の長さがあったほうが良いと思います。
長く持つわけではないですし、長すぎるともつれたり、抜けた時にショックを受けたりするので、「ベリーショートで楽しみませんか」という提案をしたいなとその時思いましたね。
②「ランブス医療美容認定協会」様のご活動内容
「ランブス医療美容認定協会」様のご活動の内容について教えてください。
豊様:ランブスでは、ウィッグを自分の髪のように自然に仕上げる医療美容師を育成していますが、ウィッグだけではなくさまざまな点もお伝えしています。
例えば、健やかに髪を再生して髪を伸ばしていくための脱毛後のケア「ヘッドソーママッサージ」や、ドレーンの傷跡や抗がん剤による顔のくすみなどをカバーするための「アピアランスメイク」、病気による心の不安などを少しでも軽くして頂くための「心理カウンセラー」など。
再発しないために必要な情報を発信する「こんいろリボンアドバイザー」など、様々な活動を行なっています。
③医療用ウィッグを含めたアピアランスケアの現状について
一般の方は「美容師ならウィッグもカットできる」と思われる方が多いかと思います。
一般の美容師と医療美容師との違いや、一般の美容師はウィッグのカットを「しない・断る」のかについても教えて下さい。
豊様:ウィッグ似合わせ屋さんを始めた頃、兵庫県だけではなく大阪、京都、奈良、和歌山、岡山、広島、徳島などからお客様がご来店されるようになりました。私はがん患者として、治療中に遠出をする大変さを知っていたからこそ不思議に思い「何故こんな遠くまでご来店されるのか?」「いつものサロンに相談しなかったのか?」など質問させていただきました。
「もう髪も無くなるしオシャレもできないからいつものところには行ってはいけないと思った」「いつもの美容室に相談して断られた」という答えが多かったです。
その中で「ウィッグはハサミが痛むねん」と言われた方もいらっしゃって。
そんな断られ方は辛いですね…。
豊様:それを聞いてスイッチが入りましたね。
美容業界で15歳から育っているので業界に育てていただいたという気持ちがありますが、美容師の方々に物申さなければならないと感じましたよ。
そこから私はがん患者として、全国の美容師さんにお伝えしたい!と、さまざまな場所でお話しさせて頂きました。
まだまだですが、医療美容師の数は少しずつ増えてきたと感じております。一般の美容室でも僕は工夫して頑張れば必ずできると思ってます。
ただ中には失敗をされてから来られたという方もいらっしゃいまして。
ランブスが有るのは、ただただその失敗をもうしてほしくないという想いからです。
ウィッグにおける失敗だとどのようなものがあるのでしょうか?
豊様:髪の毛を切る際はテンションをかけるために引っ張りながら髪を切りますが、同じようにウィッグを切ろうとすると反対側が引っ張られてずれてしまうのでそのままカットして前髪が斜めになってしまったり。後はアイロンでウィッグが溶けてしまったりチリチリになってしまったり、というケースもあります。
ウィッグの値段もさまざまで、100万円を超えるものもあって、僕自身も103万円のウィッグを切ったこともありますが、それを失敗してしまったら換えがきかないんですよね。
ランブスは横の繋がりを大事にすることで、そういった失敗リスクを抑えるように努めています。
上下関係なく仲間同士で老若男女関係なく学びを深めたり、情報共有も含めた定例会を毎月開催したりしています。
ランブス様のアピアランスケアに関する活動について
豊様:アピアランスケアですと最近アピアランスケア学会さんで、ランブスの東京の理事が発表をさせてもらいました。
他にも拠点病院のアピアランスケア外来の看護師さんとメンバーが激論になり、その中で美容師とウィッグメーカーを合わせた存在である『医療美容師』の存在の大事さを理解していただけたという場面もありました。
ウィッグ屋さんはウィッグを売ることがお仕事で、美容師はその方に似合う髪型を作るのがお仕事です。
医療美容師はその方がウィッグであっても似合う髪型を作るのがお仕事です。
こういった医療美容師の役割や、私たちが意識しているディティールの部分などもお伝えしたり、一方でアピアランスケア学会の看護師の方々がランブスの定例会へ来られてお話ししてくださったりなど、今はアピアランスケアのために協同して取り組んでいます。
石原:ウィッグも後戻りできないし、お金もかかるし失敗してほしくない。アートメイクも同じで、失敗したら消すこともできない。
アートメイクも経験が浅い人でも患者さまから頼まれて良心で施術をしてしまう方も中にはいらっしゃいますが、失敗するリスクを抑えるためにも、十分な知識や経験値・高度な技術力を持ち、がん治療をしてる方の皮膚に対して理解を深めている「おまもり認定アートメイク看護師」に施術を受けてもらいたいという気持ちがあります。
お話を聞かせていただきながら、同じ思いだなと感じておりました。
豊様:ぜひ、僕らの定例会でその姿勢をお話して欲しいです。
石原:「アピアランス」という言葉がブームのように広がってきている中ですが、しっかりランブス様のようなところで医療美容師として勉強をした方が発信されるのが何より安心だなと思いました。
またアートメイクを受けに来られる患者様の中で、「ウィッグ似合っていますか?」「変じゃないですか?」と聞かれる方が多いんです。
そういった悩みを抱える患者様に対して、ランブス様のようなところに相談できる導線が作れたら良いなと思いました。
豊様:密に連携できたらなと思っております。
④医療美容師を育成する中での想いや大事にしていること
医療美容師を育成する中での想いや大事にしていることについて教えてください。
豊様:僕らの業界では、2〜3年で美容師を辞めてウィッグ屋へ行く人も少なくありません。
ただすぐ辞めてしまったから技術はなく、ウィッグを乗っけるだけの仕事になってしまう人もいます。
なので、ウィッグ屋で働いている人=美容師とはいえないというのが僕らの見解です。
人毛のウィッグはカットやカラー、パーマもできるのですが、それがウィッグ屋さんではできないケースが多いので、
「こちらのお店はウィッグをカットしていただけますか?」と聞かれた時に自信を持って「はい!任せてください」と言えるスキルと知識と想いを持つことが大事だと思っています。
最低でも美容師としてのキャリアを5年積んでいないと似合わせることができないため、僕らの中でも5年というのはボーダーラインと決めています。
ただキャリアが1〜3年などでも、「母や兄弟ががんになって…」などの背景があったりする方などの背景によっては、時間はかかりますが徹底的に教えたりはしています。
熱量や想いも大事にされているのですね。
今後のビジョンや展望などはありますか?

豊様:全国には約24万店の美容室がありますが、すべての店舗に医療美容師がいるのは現実的ではないと思っています。
美容室ごとに目指す方向や役割もさまざまですし、ファッション性を重視しているお店も多いです。
ただ、僕自身ががんを経験したからこそ、同じような想いを持って医療美容に関心を寄せてくれる美容師が増えてくれたらと願っています。
まずは全国で1万店ほど、医療美容に取り組む美容室ができることを目指せたらと思っています。
石原:美容学校などで、医療美容を学ぶカリキュラムがあるのが当たり前になったら良いですね。
豊様:そうですね、今も2校は入っているんですけどね。
石原:そうなんですね!学ぶ段階で技術や知識があるのが一番広がりやすいですね。
⑤最後に患者さんへの思いを一言
ウィッグ選び、美容室選び、についてこれからがん治療の始める準備をされるかたに伝えたい情報を教えて下さい。
豊様:ウィッグには高額なものと安いものがあります。ウィッグ自体は高いから似合うわけではなく、安いからダメというものではありません。
最近ではネットにもたくさんの情報が出ています。
私たち医療美容師はどこのどんなウィッグもカットしています。
ご予算を伺った上で、その方の希望に合うメーカーさんをご紹介させていただいて、購入いただいたものを持参いただいてカットするという対応もさせていただいています。まずは医療美容師へ一度ご相談いただけると嬉しいです。
石原:ウィッグ屋さんに聞くと自社のものしか紹介されないので、知識のある医療美容師に詳しく聞けて、様々なメーカーを比較して使いやすさや価格帯まで相談できるというのはすごく安心ですね。
そういう相談できるところがパッと思いつかないです。
豊様:なので「ウィッグの相談窓口」のようなものも作ろうかなと思っています。
石原:殺到しそうですね(笑)。
弊社団側でもぜひ紹介させていただきたいです。
最後におまもりアートメイクを受けに来る患者さまにRAMBS様について改めてご案内の一言をお願いいたします。
豊様:まずは多くの方々に知って欲しいなと思っております。おまもりアートメイクは、髪と共に脱毛する眉に必要不可欠な技術です。
私たちの医療ウィッグをカットされたい方への気持ちとリンクしています。
ウィッグの似合わせは医療美容師にぜひ何なりとご相談ください。
石原:ありがとうございます!ウィッグの悩みについてはアートメイクの施術を受けられる方との会話でも絶対にする話題でもありますので、ぜひ協同させていただけると嬉しいなと思っております。
この取材記事を始め、おまもりアートメイクのインスタグラムやホームページ、また各地域のおまもりアートメイクを受けに来る患者さまへ、「持ち込みのウィッグのカットや相談ができる美容室がある」とご案内させていただければと思っております。


