「エピテーゼ」とは？がん治療後の選択肢を増やすために活躍する看護師の鵜澤さんを取材

近年、がん治療後の外見の変化による心の苦痛を軽減するケアとして「アピアランスケア」という言葉が注目され始めています。

以前おまもりアートメイクでも、アピアランスケアの一種である医療アートメイクのアーティストとして活躍する、看護師の鵜澤さんへ取材をさせていただきました。

https://omamoriartmake.or.jp/archives/3135

鵜澤さんは、がん治療後の選択肢を増やすために「エピテーゼ」についても学ばれています。

今回は鵜澤さんが取り組まれているエピテーゼについてどのようなものなのか、鵜澤さんの想いも取材しました。

がん治療を控えている・がん治療後のアピアランスケアの選択肢を探している方や、エピテーゼに関心のある患者さんは、ぜひ参考にご覧ください。

自己紹介

■まずは鵜澤さんご自身のご経歴や現在のお仕事などを含めた、自己紹介を簡単にお願いいたします。

ーー乳輪・乳頭のアートメイクに関心を持った方へエピテーゼの選択も提供できる形ですね。

鵜澤さん：そうですね。選択肢を増やしていければと思いました。

■医療アートメイクアーティストとして活動されておりますが、エピテーゼについて学ぼうと思った理由やきっかけは何でしょうか。

鵜澤さん：3～4年前より乳輪・乳頭のアートメイクを学びはじめたのですが、日本での

乳房再建率は20％いかないぐらいです。（18％ぐらい）

ーーかなり低い数字ですよね。

鵜澤さん：乳房再建は保険適応になっているのですが、それでも低い数字のままです。乳がんの再発のおそれやホルモン療法は5～10年ほどと治療が長いのが特徴ですが、その治療やご負担からか、乳房再建される人が少ないので、患者様への選択肢が増えるようにとエピテーゼを学ぼうと思いました。

ーー再建以外の選択肢としてまずは知ってもらえると良いですね。

エピテーゼについて

■エピテーゼとはどのようなものなのか、製作の流れ、お手入れの仕方など、知らない方も多いかと思いますので、関心を持っている読者の方向けに教えていただけますと幸いです。

鵜澤さん：エピテーゼは、メスを入れない乳房再建です。身体の形を取らせて頂き、完全オーダーメイドになります。

ーーエピテーゼはオーダーメイドのみですか？

鵜澤さん：S、M、Lなどのサイズごとに既存のものもありますが、オーダーメイドの場合は、皮膚の細かいシワや血管、お肌の色も合わせて制作していきます。製作から完成まで少しお時間を頂きます。(1～2か月程度)

ーー完成までに何度か試してみるのでしょうか？

鵜澤さん：初めてお会いした時に、肌の色や左右のバランスなどを見て製作し、合計3回ほどはお会いして着用していただきながら完成していく流れです。

粘着部分を身体に貼り付けて使用しますが、数時間程度であれば温泉やプールもそのままお入り頂けます。

ーー（エピテーゼを見せていただいた後）粘着が強く取れなさそうで良いなと感じたのですが、長時間付けると肌が荒れるなどの心配はないのでしょうか？

鵜澤さん：米国FDAで認可を受けた医療用シリコーン　(正式にはシリコーンと言うらしいです)を使用しておりますので、肌荒れの心配は低いです。多く汗をかいたり、長時間の着用をしたりすると、夏に肌が荒れるような汗疹のようなものが見られる方もいますが、肌馴染みの良い医療用シリコーンのため、肌荒れの心配は基本的にないかと思います。

また、使用頻度や日常のお手入れにもよりますが、乳房のエピテーゼは3年程度使用し続けられます。

※エピテーゼの着彩に使用する材料

■エピテーゼはどのような方へ需要が高いですか？（乳がんの方、事故による手指の欠損の方など）

鵜澤さん：乳がんの方や、指などの先天性の欠損、小耳症、事故による欠損などのある方が対象です。

ーー先ほどお話しいただいた乳房以外に、指や耳、足などもあるんですね。

鵜澤さん：耳は小学校の給食などでマスクをする時に、耳が小さくてマスクをかけられないといったタイミングで作成することも多いようです。ただし、小学生などのお子様は成長していくに連れて耳や足などが大きくなっていくため、サイズが合わなくなり何度も作り直しが必要です。

乳房は基本的にそういった理由での作り直しではなく、粘着が弱くなってきたなどの耐久性の部分を理由に作り直しをしていきます。

ーー粘着性や耐久性を持続させるには、お手入れが重要なのでしょうか？

鵜澤さん：そうですね。使用しないときは専用のケースにしまっていただいたり、使用後は洗っていただいたりなどして保管いただければと思います。

■エピテーゼを着用するメリットを教えてください。

ーー重さの部分はなかなかイメージがつきにくかったです…！確かに片方だけの状態だと体の重心のバランスが崩れていって、お歳を重ねてからも心配ですよね。

鵜澤さん：例えば枕みたいな柔らかいパッドを入れて生活していく方もいらっしゃるんですが、その場合見た目は問題なくても、パッドは軽いので重心が偏って5年後、10年後に肩が片方だけ下がってしまうなどの可能性もあります。

そう言った身体のバランスを保つ側面も、エピテーゼのメリットかと思います。

エピテーゼに関する鵜澤さんの想い

■鵜澤さんがエピテーゼの製作において気をつけていることや大事にしていることがあれば教えてください。

アピアランスケアに対する思い

■エピテーゼによるアピアランスケアに対する思いを率直に教えてください。

鵜澤さん：現在あまり知られていない「エピテーゼ」という言葉自体が知られていないかと思います。

ーー私も指や手足の欠損しか存じ上げませんでした。

鵜澤さん：そうですよね。なかなか知る機会がないため難しいと感じる部分も多いのですが、たくさんの方に選択肢があることを知って頂きたいです。啓発活動をしていかなければいけないと思っています。

ただ、SNSを利用して広めたい思いはあるものの、お胸のお写真は掲載が難しいため、SNSを活用するのも難易度が高いなと感じています。

ーーこうしたおまもりアートメイクなどの取材でも含めですが、少しずつ注目度を上げていきたいですね。

何かのきっかけになってくれると嬉しいです。

■エピテーゼに関して知名度を上げていきたいなど、今後のビジョンや展望などはありますか？

※鵜澤さん作成の乳頭のエピテーゼ

最後にエピテーゼに関心のある方へ向けての思いを一言

■最後にがん治療による外見の変化に悩んでいる患者さんや、エピテーゼに関心を持っている方など対してメッセージをお願いいたします。

鵜澤さん：アートメイクと同様に、まずはカウンセリングにいらして頂けたらと思います。

ご自身が納得されてお作りするのが一番だと思います。宜しくお願いいたします。

ーーSNSにはなかなか載せられにくいのですが、自然な見た目で、付け外しも簡単にできるエピテーゼは、実際に実物を見ていただいて検討いただくのが一番だと私自身も感じました。

関心のある方は、一度鵜澤さんへお問い合わせください。

鵜澤さんインスタグラム
https://www.instagram.com/uzawa_artmake?igsh=OTVtNDB4ejNwNGNr

他エリアを含めて、よりゆっくり相談をしたい方は、おまもりアートメイク専用のLINEにご登録ください。

相談窓口をご用意しております。

https://line.me/R/ti/p/@485xeove

取材したライター

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