いつまで続く?抗がん剤治療の期間を解説します

抗がん剤治療を行う期間や、抗がん剤による副作用が出始めてから症状が落ち着くまではどれくらいかかるのでしょうか。

ある程度の期間が分かれば気持ちも少し軽くなると思います。

今回は抗がん剤治療を行う期間や副作用が落ち着くまでの期間を解説していきます。

目次

抗がん剤治療の期間とは?

抗がん剤治療は主治医が決定し、同じ腫瘍でも人によって抗がん剤の治療内容は異なります。

「2週おきの点滴を合計6回」や「毎日の内服を治療効果がなくなるまで」などさまざまです。

そのため、治療期間もがんの種類や治療法によって異なり、トータルの治療期間は最低数カ月、長いと数年単位でかかる人もいます。

また、経過観察しているときに、再発や転移により治療が再開されるケースも多いです。 

実際に治療を行う際のスケジュールは、レジメンという治療計画書に沿って立てられます。

がんの種類や治療法ごとに決められた基本レジメンをもとに、医師と薬剤師が患者のがん細胞の性質や症状から、治療効果や副作用などを総合的に判断した上で決めていきます。

飲み薬以外の抗がん剤は、投与後に休薬期間が設けられるため、投与は毎日ではありません。

この投与期間と休薬期間を含めた1セットを複数回、効果が出るまで繰り返していきます。 

治療の効果の確認には、X線、CT、MRI、超音波検査などの画像検査や、血液検査である腫瘍マーカーを用います。

薬物療法は投与直後に結果が分かるものではないため、これらの検査は投与後2か月前後で行われることが多いです。

抗がん剤の副作用はいつまで続くの?

抗がん剤治療が終わってからしばらくすると、正常細胞が回復するため、副作用の症状は徐々に消えていきます。

ここでは具体的な副作用とその期間についてご紹介します。

ただし、患者さんの健康状態や薬の種類により、副作用の期間は異なる場合があります。

吐き気・嘔吐

吐き気や嘔吐は、抗がん剤で多いと言われる副作用の一つですが、近年では、抗がん剤による吐き気や嘔吐を予防する薬の開発が進められ、症状をかなり抑えられるようになりました。

吐き気は通常、 2~5日間ほど続きますが、その後は徐々に回復し、1週間も経てばほとんどなくなることが多いです。 

脱毛

抗がん剤の投与後、約2週間が経つ頃に髪の毛が抜け始め、3週間経つ頃になると多くの毛が抜けていきます。

個人差はありますが、1~2か月後には髪の毛がほとんど抜けてしまう場合もあります。

治療は数か月以上にわたって続くため、その期間は髪の毛は抜けた状態です。

その後、抗がん剤が終了してから3か月後くらいから毛が生え始め、少しずつ伸びていきます。

感染症

抗がん剤の使用中は感染症にも注意が必要です。

抗がん剤を使用することにより、骨髄中の造血幹細胞が攻撃され、血液中の白血球が減少します。

その影響で、細菌やウイルスに対してからだの抵抗力が弱くなり、感染症にかかりやすくなります。

個人差はありますが、骨髄の機能は治療が始まって 1~2 週間後に最低となり、3~4 週間目にかけて徐々に回復していくといわれます。

しかし、繰り返し抗がん剤治療を行うことにより、回復するまでに時間がかかることがあります。

下痢

下痢の症状の多くは一時的なものであり、腸の粘膜が回復するまでにおよそ 2 週間程度かかるでしょう。

口内炎

口腔粘膜の炎症は発症してから3~4週間でほぼ回復するでしょう。

しかし、治療が繰り返し行われる場合は、なかなか治らないこともあります。

皮膚障害

皮膚障害は、治療中に一度出現すると治療が終わるまで続くことが多いです。

ただし、休薬や治療の終了後に保湿剤などを継続的に使用することで、徐々に改善する場合が多いです。

腎障害

腎障害は、一度出現すると直接的に有効な治療法や治療薬がありません。

対処療法を行いながら腎機能の回復を待ちます。

肝障害

肝障害は、抗がん剤の治療によって起こった場合は、治療の中止により症状が改善することが多いです。

それ以外の原因の場合は、すぐには症状が改善されないこともあり、症状改善のための治療を行います。

抗がん剤治療の期間には個人差がある?

がんの薬物療法では、患者さんの体調や薬の効果などにより、治療の途中で薬の減量や休薬、そして投薬の変更や中止の検討が必要な場合があります。

そのため、はじめに予定していた治療スケジュールよりも治療期間が長引くこともあるでしょう。

また、患者さんによっては、治療の途中でがんの転移が見つかる場合もあります。

さらにがんの治療には薬物療法以外にも、手術や放射線治療の選択肢もあります。

がんの種類や進行する度合いによっては、それぞれ単独の治療法では十分な効果を得られず、治療法を組み合わせて進めていくケースも多いです。

主治医は検査を行いながら、その人のがんにもっとも効果が期待できる治療はないか、その組み合わせを探っていきます。

さらに性別や年齢、がん以外の持病、生活環境、患者さんの希望なども考慮して総合的に判断し、治療方針を決めていきます。

治療の開始後も定期的に検討が繰り返され、その都度最善な方針が選択されていくため、抗がん剤治療の期間には個人差が生まれるようです。

▼参考資料はこちら

集学的治療|がん情報サービス

治療に不安があるときは主治医に相談を

抗がん剤治療は数か月以上の長期にわたって継続されるため、治療の途中で不安になったり、副作用で治療を続けるのが辛く感じることもあります。

そんな中、治療のスケジュールや、起こりうる副作用をあらかじめ把握しておくことで、ある程度心の負担を軽くできるでしょう。

さらに、がんの治療では、予想されていた効果が出なかったり副作用が強く出てしまったりして、治療期間が変わることも多くあります。

抗がん剤治療は、個人差によっても大きく変わってくるため、治療がなかなか思い通りに進まないことも考えられます。

治療をするうえで、不安に感じた場合は一人で悩まずに、主治医に相談しましょう。

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