ドセタキセル療法(DTX療法)とは?

ドセタキセル療法(DTX療法)は、乳がんの手術前に薬剤を投与することで、がん細胞の増殖を抑制し、腫瘍を小さくすることにより腫瘍を切除しやすくする療法です。

また、抗がん剤であるドセタキセルには、乳がんの再発の予防や再発時の治療にも効果的であるとされています。

この記事では、ドセタキセル療法の特徴や使用方法、副作用について解説します。

目次

1. ドセタキセル療法とは?

ドセタキセル療法(DTX療法)は、がん細胞の増殖を抑制するために使用される抗がん剤のドセタキセルを主体として投与する治療法です。

ドセタキセルは、ヨーロッパイチイの針葉から抽出された成分で、細胞分裂に必要な微小管の働きを妨げることにより、がん細胞の増殖を抑制します。

この治療法は、多くのがん治療に適用可能であり、特に外来での治療が可能です。

2. ドセタキセル療法の特徴

ドセタキセル療法では、ドセタキセルの投与時に副作用として手足がむくみやすくなります。

その対処方法として、抗がん剤の投与前にむくみ予防として副腎皮質ホルモン剤であるデカドロン注射液を投与します。

ドセタキセル療法の投与方法は、1時間以上の点滴静注です。

この治療法には骨髄抑制による白血球や赤血球の減少、アレルギー反応、吐き気・嘔吐、倦怠感などの副作用が伴います。

3. 治療における使用法と投与量

ドセタキセル療法での薬剤の使用方法や投与する量について解説していきます。

3-1. ドセタキセルの一般的な使用法

ドセタキセルは、1時間以上かけて点滴静注で投与します。

投与後に手足がむくみやすくなる副作用の対処として、抗がん剤の前に副腎皮質ホルモン剤であるデカドロン注射液を投与します。

点滴時間は約80分程度となっており、吐き気止めとむくみ予防の薬剤を15分、ドセタキセル薬剤(抗がん剤)を60分、生理食塩水を約5分投与します。

ドセタキセルの薬剤にはアルコールが含まれているため、お酒に弱い方やアルコールのアレルギーがある方は初期投与前に必ず医師に伝えておきましょう。

3-2. ドセタキセルの投与量と周期

ドセタキセルの投与量や周期は以下のとおりです。

ドセタキセルの投与量1回における投与量は、60-100mg/1㎡の体表面積に基づいて計算
ドセタキセルの周期3週間を1サイクル(1日目に投薬後、20日間休む)とし、4サイクル続ける

4. ドセタキセルの副作用

ドセタキセルは、投与後に副作用が起こる場合があります。

主な副作用は以下のとおりです。

服用説明
むくみドセタキセル投与後に顔や足にむくみを感じる場合があります。むくみは投与の終了後に徐々に落ち着いていきますが、ひどい場合は医師から利尿剤を処方してもらいましょう。抗がん剤治療中は、塩分を控えたり、マッサージを取り入れたりすることも効果的です。
脱毛ドセタキセル投与2~3週間後の髪の毛が抜け、頭皮が敏感になります。抗がん剤投与前に医療用ウィッグや専用のキャップを用意しておくことで頭皮にストレスを与えることなく過ごせるでしょう。
吐き気・嘔吐副作用には個人差がありますが、ドセタキセル療法による吐き気や嘔吐症状は比較的軽度といわれています。
下痢ドセタキセル投与後、当日やそれ以降に下痢症状が出る場合があります。
口内炎ドセタキセル投与後、口内に違和感を感じる場合があります。冷たすぎるものや熱すぎるもの、辛いものなど刺激の強い飲食物の摂取は避けるなど意識しましょう。
白血球減少ドセタキセルの投与後、一時的に白血球の数が減少します。1~2週間は白血球の数が減少しますが、3~4週目に回復します。白血球が減少している間は免疫力が低下するため、感染症や発熱に注意が必要です。
関節痛注射の2~3日後に足の関節や筋肉に痛みを感じる場合があります。この痛みは数日で収まることが多いですが、痛みが収まらない場合は医師に相談しましょう。
末梢神経障害関節痛同様に注射の2~3日後に足の関節や筋肉にしびれを感じる場合があります。このしびれは数日で収まることが多いとされていますが、しびれが収まらない場合は医師に相談しましょう。

副作用は、患者さんによって症状が異なります。

そのため、何か症状が出たら周りと比べたり我慢したりせずに、主治医に相談することが大切です。

ドセタキセル療法で乳がん腫瘍の拡大を抑える

今回はドセタキセル療法の使用方法や副作用について解説しました。

ドセタキセル療法は、乳がんの原因となっている腫瘍を小さくし、切除しやすくするために効果的な薬剤です。

ドセタキセル療法において出現しやすい副作用の一つにむくみがあるため、薬剤の投与時にはむくみ止めが入っています。

しかし、投与後にむくみがひどい場合は我慢せずに主治医に相談しましょう。

副作用を緩和する方法は投薬だけでなくさまざまあるため、抗がん剤治療の間は上手く副作用と付き合っていくことが大切です。

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