アートメイクは、消えない眉毛を皮膚に直接描く技術として、美容分野で認知度が高くなっています。
このアートメイクという技術が、今医療分野においても注目され始めているのをご存知でしょうか。
今回は、会社を立ち上げて医療とアートメイクとの橋渡しである活動をされている石原さんに取材をさせていただきました。
アートメイクについての概要から、石原さんが提唱しているがん医療患者さんや脱毛症患者さん向けのアートメイク「おまもりアートメイク」について、3つの記事に渡ってご紹介していきます。
今回は、第1回目の記事になります。
一般社団法人全日本がん脱毛医療アートメイク 代表 石原穂乃佳さんのご紹介
―まずは自己紹介をお願いします。
[石原]
石原穂乃佳です。年齢は30歳です。
今年で看護師8年目、アートメイクアーティストとしては4年目です。
2022年に一般社団法人全日本がん脱毛医療アートメイクを立ち上げ、医療の現場にアートメイクを広げる活動もしています。
趣味はアウトドアやスポーツ全般で、サーフィンやテニス、スキーなど幅広く楽しんでいます。
また、アウトドアきっかけで、湖や海など、自然の豊かなスポットに出かけるのも大好きです。
アートメイクとは?
―社団の活動を聞きたいのですが、その前にアートメイクについて聞かせてください。
眉毛を綺麗にするイメージはあるのですが…
アートメイクというものは、どういうものでしょうか。
[石原]
アートメイクは、消えない眉毛を直接皮膚に書く施術のことを言います。
タトゥーと勘違いされることもありますが、全く違うもので、数年で少しずつ消えていくのも特徴です。
アートメイクをすることで、理想の形や濃さの眉毛にできます。
また、私の中では、アートメイクはおしゃれというジャンルを超えた施術という認識です。
私たちがお化粧をするときは、可愛くいたい、きれいになりたい、そして、何かコンプレックスを隠したいという気持ちがあると思います。
アートメイクは、自分のすっぴんを隠さなくてもよくなり、そして自信を与えてくれる、素顔が好きになる特別な美容医療です。
―たしかに、しっかり化粧をしない日も眉毛だけは描く場合もあります。眉毛ひとつで顔の印象が変わりますよね。
[石原]
そうなんです。
「顔の印象の8割は眉毛で変わる」と言われるくらい、眉毛は顔の中で大事なものです。
眉毛は表情を作るものであり、眉毛の形だけで顔の印象は大きく変わります。
「とりあえず眉毛を描けば人前に出れる」というくらい、眉毛はなくてはならない存在です。
アートメイクは消えない眉毛を直接皮膚に書くことで自分の素顔に自信が持てて、より好きになれる特別な美容医療です。また、徐々に薄くなる施術でタトゥーとは異なります。
アートメイクアーティストとしての活動を始めたきっかけ
―ありがとうございます。活動についてお聞きしたいのですが、どんなことがきっかけで石原さんはアートメイクアーティストとして活動をしようとなさったのでしょうか。
[石原]
きっかけは、自身の過去のコンプレックスです。
私は小さいころから眉毛が薄くて、それがとてもコンプレックスに感じていました。
当時から、「眉毛がないということは恥ずかしいことだ」という認識を持っていたので、学生時代は毎日眉毛を描いて通学していました。
また、描いた眉毛が途中で消えるのが怖くて、常に眉ペンは持ち歩いていました。
そんな悩みを解決できたのは、大学生の頃にアートメイクと出会ったことです。
母に紹介されて、自分自身がアートメイクの施術を受け、眉毛が薄いという長年の悩みを克服できました。
その後、私自身も眉毛に悩む方の力になりたいと思い、アートメイクアーティストの道に進むことを決意しました。
がん医療アートメイクとは?
―石原さん自身も、眉毛に悩んでいた過去があったのですね。石原さん自身のエピソードから、アートメイクは眉毛のコンプレックスを解消してくれる施術であることが分かりました。ところで、がん医療アートメイクは、アートメイクとはどう違うのでしょうか。
[石原]
がん医療アートメイクは、施術自体はアートメイクと変わりませんが、がん患者さんのアピアランスケア(外見のケア)の為の医療アートメイクという意味合いを込めて、私が作った言葉です。
医療アートメイクは東京を中心にこの数年でかなり普及してきました。
ですが、その施術のほとんどが美容のクリニックで受けられる印象が強いように感じます。
一般的な病院で医療アートメイクを行なっているところはほとんどないため、脱毛で悩む患者さんのほとんどは、医療アートメイクのことを知る機会がありません。
がんの治療は病院で行われます。
抗がん剤の治療によって眉毛が副作用で抜けてしまうので、がん患者さんの脱毛にもアートメイクの施術を受けてほしいのです。
しかし、病院の中での認知度はまだまだ低く、医療従事者も医療アートメイクを知らないため、がん患者さんは医療アートメイクという選択肢すら知らない、教えてもらえないのが現状です。
そのため、脱毛のケアとして医療アートメイクとしての印象をもっと身近に感じてもらいたいと考えました。
がん医療アートメイクという言葉を広めて、眉毛を喪失してしまった人たちのための技術でもあるという思いも伝えていくべく、がん医療アートメイクという名前にしました。
また、認知してもらう上では言葉の表現も重要と思っています。
おしゃれ用ウィッグと医療用ウィッグとの違いのように、がん医療アートメイクという名前でアートメイクと差別化することで、患者さんも利用しやすいと考えました。
アートメイクは眉毛の悩みを解決する力強い味方
アートメイクは、きれいになるための施術という効果だけではなく、生まれつき眉毛が薄い、脱毛症、病気の副作用で悩む方を救う方法であることが分かりました。
さらに、アートメイクは今まで自信がなかった方が、施術を受けることで、自分の顔が好きになって、自分らしく明るく過ごせるようになれる、素晴らしい施術であることが感じられました。
第2回目はそのアートメイクを理解した上で、代表の石原さんが提唱する「おまもりアートメイク」について詳しく伺っていきます。