抗がん剤副作用の皮膚障害とは

抗がん剤の副作用の影響で皮膚障害が現れることがあります。

皮膚障害は痛みやかゆみだけではなく、露出する部分は目につきやすく、人の目が気になったりと精神的な悩みになることが多いです。

そんな皮膚障害にはどのような症状があるのでしょうか。

皮膚障害の特徴や症状を見ていきましょう。

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抗がん剤副作用の皮膚障害の特徴

抗がん剤の副作用は、使用する薬によって異なります。

その中でも、皮膚障害は治療を継続していくうえで十分な対応が必要です。

特に近年は、ピンポイントに作用する抗がん剤が広く用いられるようになり、皮膚障害を起こす頻度が上がっています。

皮膚障害の症状で、命に関わるものはほとんどありませんが、身体的、精神的に苦痛を与えるものが多いです。

そして使用する抗がん剤の種類や量、そして患者さんの体調によって大きく症状は異なります。

そのため、早期に治療を受け、症状をコントロールすることがとても大切になります。

皮膚障害の主な症状とは

皮膚障害の主な症状は、大きく分けると殺細胞性と分子標的型の抗がん剤に分けられます。

ここでは、具体的な症状を細かく解説していきます。

それぞれ自分自身の症状と合わせて、チェックしてみましょう。

殺細胞性の抗がん剤による副作用

抗がん剤は、細胞分裂の活発な細胞に対して作用します。

その際に、皮膚や爪は細胞分裂が活発なため、副作用の影響を受けやすいとされています。

殺細胞性の抗がん剤による副作用を見ていきましょう。

皮膚の乾燥

皮膚が乾燥すると、表面上は粉がふくようになります。

かゆみとともに、徐々に皮膚の弾力性が失われ、ひび割れや出血が発生します。

抗がん剤の副作用によって、皮脂腺や汗腺の分泌が抑えられ、乾燥しやすくなるため、保湿するなどして気をつけましょう。

発疹や紅斑

発疹や紅斑は、皮膚上に赤い斑点やブツブツのようなものが出る症状です。

悪化すると皮膚が剥けてしまうおそれがあります。

これは、皮膚のバリア機能が低下している証拠でもあるため、早期の対処が必要です。

色素沈着

副作用により、手足や爪に黒ずみが現れます。

患者さんの中には、シミが増えたと思われる方が多いです。

抗がん剤の副作用によって、メラニンの生産が活発になるため起こる症状です。

手足症候群

手足症候群は、手のひらや足の裏まで広範囲にわたって、紅斑や色素沈着、しびれ、ほてり、痛みなどのさまざまな症状が発症します。

症状が悪化すると、物を使う行為や歩行が困難となり、精神的に大変苦痛を感じる皮膚障害の一つです。

・爪の変化

抗がん剤により、爪が変色し、変形することがあります。

また、爪が脆くなり、剥がれてしまう可能性もあるため、注意して観察しましょう。

さらに、爪周囲が炎症し、出血することもあります。

分子標的型の抗がん剤による副作用

分子標的型の抗がん剤は、薬剤による範囲がピンポイントです。

副作用によって、皮膚の成長を阻害したり、本来の機能が十分に働かずにダメージを受けることが多くなります。

分子標的型の抗がん剤による副作用を見ていきましょう。

ざ瘡様皮疹(ざそうようひしん)

ざ瘡様皮疹とはニキビのような見た目の症状ですが、顔面だけでなく、胸や背中など体にも皮疹が出るのが特徴です。

痒みや痛みなどを伴うこともあります。

抗がん剤の治療開始から数日~1ヶ月で出現します。

爪囲炎

爪囲炎とは、爪の周囲に炎症が起こり、紅斑や腫脹、亀裂、肉芽などが形成され、痛みを伴う症状です。

指先を使った細かい作業をする際などに痛みが出た場合は、すぐに専門医に相談しましょう。

手足症候群

殺細胞性の抗がん剤の副作用と同様に、紅斑や色素沈着、しびれ、ほてり、痛みなどのさまざまな症状が症状があります。

治療開始から約2週間程度で、手のひらや足の裏などの角質層が厚い部分に発症します。

皮膚乾燥症

皮膚乾燥症とは、皮膚が乾燥しかゆみを伴う症状のことです。

悪化してしまうと、皮膚が固くなり、厚くなってしまいます。

治療後数週間で角質層に水分を保持する能力が低下し、急激に発症します。

日頃のケアで皮膚障害の悪化を防ぐ

皮膚障害は、病院での処置だけでなく、日常生活におけるケアによって症状の悪化を防ぐ方法があります。

日常的なケアを続けることで、症状を緩和することが可能なため、その方法を見ていきましょう。

皮膚障害の一般的なケアとしては、保湿や保清、保護のためのスキンケアが重要になります。

皮膚を洗浄する際には、石鹼を使い、丁寧に洗いましょう。

その際に、泡はしっかりと洗い流すことが大切です。 

さらに、保湿のためにローションやクリームを使うのもおすすめです。

また、40度以上の熱いお湯は皮膚にとって刺激になるためなるべく触らないようにしましょう。

外出する際には、紫外線は皮膚にとって悪影響を及ぼす可能性があります。

しっかりと帽子を被ることや長袖、長ズボンを着用することで皮膚の露出を控えておきましょう。

また、皮膚保護のスキンローションなどの使用もおすすめです。

症状によって、対策すべき日頃のケアは変わってきます。自分の症状に合わせたケアを、専門医と相談しながら行いましょう。

抗がん剤副作用の皮膚障害と向き合っていくために

抗がん剤の副作用の一つである皮膚障害は個人差の大きい副作用ですが、早期の対処によって症状を緩和することが可能です。

また、抗がん剤の種類が殺細胞性か分子標的型かでも、皮膚障害の症状は異なってくるため、治療方法から症状を把握しておきましょう。

さらに、紫外線や乾燥などを意識し、日常生活でのケアをしっかりと行うことで、症状の悪化防止と緩和ができます。

専門医による治療とともに、日常のケアも取り入れ、皮膚障害を緩和していきましょう。

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