抗がん剤の副作用は、使用する抗がん剤の種類や患者さんの体の具合によってさまざまです。
がん治療を乗り越えるためには、辛い副作用にどう対処して付き合っていくかが重要になります。
今回は、抗がん剤の副作用にはどのようなものがあるか、そして副作用ごとの対処法をご紹介します。
抗がん剤副作用とは
抗がん剤を使用した際の副作用には、以下のようなものがあります。
- 脱毛や皮膚の湿疹など、外見上の変化
- 視力低下、肝機能低下など、体内部の変化
- 手足のしびれなど、日常生活に影響を与える変化
使用する薬の種類や個人差はありますが、副作用によって、いずれも患者さんの生活の質を低下させるものとなるでしょう。
副作用を完全に抑えることは難しいですが、症状を緩和させるための対処法はあります。
うまく緩和して症状と付き合っていくことが大切です。
対処法について、次の章で説明をしていきます。
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患者さんが自分でできる副作用の対処方法
抗がん剤の副作用は治療に使用する薬により、現れ方に違いはありますが、それぞれの症状へ対処するための方法を知っておくことが大切です。
どのように対処すれば良いのか、それぞれの症状ごとに解説します。
吐き気、嘔吐
吐き気や嘔吐は、抗がん剤を使用した治療を行う際に比較的発生しやすい副作用の1つです。
個人差はありますが、おおよそ1週間ほどで吐き気はピークを過ぎ、症状の程度により薬を処方してもらいます。
また、薬を使用する以外にも、症状を緩和させるための方法があります。
- 食前にうがいをする
- 食欲がわかないときは無理に食べず、食べられるときに食べる。
- 水分をこまめに摂る
- 歯を磨くのが難しい時はうがいで口内を清潔に保つ
- 体の締め付けが少ないゆったりした服を着る
以上のような対処法を心がけることで、吐き気を予防することができ、不快な症状を軽減することにつながるでしょう。
口内炎
口内炎は、抗がん剤の副作用として発生しやすい症状です。
薬を使用することで抵抗力が落ち、口の中の粘膜がダメージを受けたり菌に感染したりするなど、さまざまな要因がきっかけとなって症状が出てきます。
口内炎の対処法は以下の通りです。
- 口の中を清潔に保つ
- 歯磨きは口内に傷をつけないよう丁寧に行う
- 口の中が乾燥する場合は、保湿剤を使用する
- 頬の内側や唇の裏など、口の中を定期的に観察する
- 痛みが強い場合は、痛み止めを処方してもらい使用する
抗がん剤を使用して治療を行う際に、栄養を摂ることは円滑な治療を進めるために必要なことです。
口内炎による痛み、口の中の渇きは食事の妨げとなる場合もあるので、可能な限り丁寧にケアを行うことが大切です。
下痢
下痢には、抗がん剤を使用した直後に現れる早発性の症状と、24時間以降数日後に現れる遅発性の症状の2種類があります。
早い段階で起きる症状は薬の影響で腸の動きが変わることにより、発生する一時的な症状のため、短期間でおさまることがほとんどです。
一方で、後から発生する症状は、薬の影響で腸の粘膜に障害が起きることで起こる症状です。
なかなか改善しない場合もあり、症状が重いときには下痢止めの使用が必要となります。
下痢の対策としては、
- お腹を冷やさないようにする
- 消化吸収のよいものを食べる
- 脱水にならないようこまめに水分をとる
- 可能な限り温水洗浄機能を使い肛門周囲を清潔に保つ
以上のような対処法を行うことで、症状の緩和につながります。
便秘
抗がん剤を使用すると、食欲が減り、運動しづらくなることや精神的ストレスがきっかけで、便秘の症状が出ることもあります。
便秘は、腹部に不快感や腹痛、吐き気を引き起こすだけでなく、悪化すると腸閉塞につながる場合もあるため、症状がある場合は我慢せずに早めに主治医に相談しましょう。
便秘の対策方法は以下の通りです。
- 散歩や軽度の体操を行う
- お腹のマッサージをする
- 腸内細菌を整えるヨーグルト、漬物などを食べる
- 食事は食物繊維の多い食品を多く摂るよう心がける
- 水分を朝、食間など、こまめにできるだけ多めにとるようにする
服薬以外にも、自分で行える対処法が多いため、無理のない程度に医師の指示のもとでやってみましょう。
脱毛
脱毛においては以下の対策が効果的です。
- ぬるま湯で優しくシャンプーする
- 医療用ウィッグ、帽子を着用し外部からの刺激を防ぐ
- 眉毛やまつ毛は化粧を行う、アートメイクを行う
抗がん剤を使用すると髪だけでなく、まゆ毛、まつ毛においても脱毛の症状が起こります。
脱毛後の頭皮は非常に敏感になっているため、シャンプーなどはぬるま湯で優しく行いましょう。
治療が終了すると徐々に発毛してきますが、髪の毛が生え揃うまでには1年程度かかるため、医療用ウィッグやキャップなどが必要になります。
脱毛後は、眉毛を描くのが難しく感じる方が多く、負担になる場合があります。
抗がん剤治療前にアートメイクの施術を受けることによって、脱毛による表情の変化が少なく、眉毛を描く負担もなくなるため、現在ではアピアランスケアの一環として推奨されています。
アートメイクをする場合は、施術前に必ず担当医に相談し、了承を得たうえで施術を受けましょう。
皮膚障害
皮膚障害の対策は以下の通りです。
- 早い時期に変化に気づくため、入浴時に全身を確認する
- 皮膚を洗うときはせっけんを泡立てて丁寧に洗い、しっかりと洗い流す
- クリームなどで保湿を行い乾燥を避ける
- 紫外線、虫刺され、ケガに気を付ける
抗がん剤治療の際には、皮膚のかゆみや痛みなどの症状が出る場合もあります。
こまめにケアを行うことで症状を緩和することができ、心身へのストレスを軽減できます。
爪
爪の対策は以下の通りです。
- 手を洗うときは爪の間も丁寧に洗う
- 保湿クリームやローションを手だけでなく爪にも塗る
- 爪が弱っている時には靴下、手袋を着用する
治療内容により、爪がもろくなり、色が変化する場合があります。
症状が悪化すると、変形、炎症を起こすこともあるため、こまめにケアを行いましょう。
適切な対処で心身へのストレスを軽減しましょう
抗がん剤治療を行う際には、吐き気や口内炎など、さまざまな副作用が現れることがあります。
吐き気や痛みは精神的苦痛を伴うため、積極的に改善していく必要があります。
特に口内炎や皮膚、爪などにおいては、早めに発見できると副作用の悪化を防ぐことができる症状もあるため、こまめに状態を確認することが大切です。
医師にも相談しながら無理のない範囲で適切な対処を行い、心身へのストレスを軽減していきましょう。