dd-TC (ドーズ・デンスTC) 療法とは?

がん治療の一つに、dd-TC(ドーズ・デンスTC)療法があります。

dd-TC療法は、特に卵巣がんや、腹膜がん、卵管がんなどに対して効果を発揮するといわれている治療法ですが、乳がんの治療でも再発予防やがんの進行を抑えるために用いられています。

この記事では、dd-TC療法の特徴や治療における使用方法、想定される副作用について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

1.dd-TC療法とは?

dd-TC(ドーズ・デンスTC)療法は、主に卵巣がんや腹膜がん、卵管がんの治療に用いられる抗がん剤治療法です。

パクリタキセルとカルボプラチンという、異なる効果を持つ2種類の抗がん剤を組み合わせて使用します。

手術前後の治療として用いられることが多く、特に再発予防やがんの進行を抑制することを目的としています。

ドーズ・デンスとは、がんの化学療法において、薬剤を集中投与し、投与間隔を短くする方法をいいます。

たとえば、通常は3週間ごとに行う投薬を2週間ごとに短縮して行うというイメージです。

2.dd-TCの体内での働き方

パクリタキセルは、細胞分裂に必要な微小管に作用することで、細胞の分裂を阻止してがん細胞が増殖することを抑え、死滅させる働きを持ちます。

またパクリタキセルには、成分や溶解補助剤によるアレルギー症状が出現することがあるため、抗がん剤の前にあらかじめ抗アレルギー薬を点滴します。

一方で、カルボプラチンはがん細胞のDNAの合成を妨害することで、細胞の分裂を止め、がん細胞を死滅させます。

これらの相乗効果により、がん細胞の成長を効果的に抑制することが可能です。

パクリタキセルには添加剤として無水エタノールを含んでおり、眠気やふらつき、動悸などの症状が出ることがあります。アレルギーのある方やお酒に弱い方は、医師に申告しましょう。

薬剤特徴
パクリタキセル細胞分裂に必要な微小管構造に直接作用し、がん細胞の増殖や、がん細胞の成長と分裂を妨げ、がんの進行を遅らせます。
カルボプラチンがん細胞のDNA合成を妨げます。これによって、正常にDNAを複製できなかったがん細胞は、細胞分裂が停止し、死滅していきます。

3.治療における使用法と投与量

ここでは、dd-TC療法の使用法と投与量について解説します。

dd-TC療法の一般的な使用法と投与量について、詳しく見ていきましょう。

3-1.dd-TC療法の一般的な使用法

dd-TC療法では、パクリタキセル(タキソール)とカルボプラチンという2種類の抗がん剤を組み合わせて使用します。

投与の順序は、アレルギーと吐き気予防剤を投与後、パクリタキセルを先に投与し、その後にカルボプラチンを投与する順序が一般的です。

また、これらの薬剤は3週間ごとに点滴で投与されます。

3-2.dd-TCの投与量と周期

dd-TC療法は、21日間(3週間)に1回の点滴で薬剤を投与しますが、1週目と2・3週目では一部の使用する薬剤が異なります。

抗がん剤投与は、週ごとの初日に抗がん剤を投与し、残りの6日間は休薬期間として身体を回復させるというサイクルです。

また、カルボプラチンの投与は1週目のみであり、2種類の抗がん剤を投与する際は、パクリタキセル、カルボプラチンの順で行われます。

一般的に使用する薬剤や投与時間は、以下の図のとおりです。

※治療する病院によってアレルギーと吐き気予防の薬剤は異なる場合があります。

薬剤(1週目)薬剤(2・3週目)投与目的点滴時間
ファモチジンデキサメタゾンファモチジンデキサメタゾンアレルギー予防吐き気予防15分
クロルフェニラミンクロルフェニラミンアレルギー予防15分
グラニセトロン吐き気予防15分
パクリタキセルパクリタキセル抗がん剤1時間
カルボプラチン抗がん剤1時間
生理食塩液生理食塩液点滴管内の洗浄用15分

引用:ドース・デンスTC療法の手引き

4.dd-TC療法の副作用

dd-TC療法の主な副作用は、以下のとおりです。

副作用症状
脱毛抗がん剤の投与後、2~3週間後に発症しやすいでしょう。髪の毛が抜けると同時に頭皮が敏感になるため、摩擦や紫外線などの刺激から頭皮を守るために、事前に医療用ウィッグや専用のキャップを用意しておくことがおすすめです。
末梢神経障害(しびれ)しびれは抗がん剤の投与後、数週間以内に現れることが多く、手足から生じやすいとされています。症状の度合いはさまざまです。物を持てないなど、日常生活に支障が出る場合は主治医に相談しましょう。
関節痛・筋肉痛抗がん剤の投与後、2、3日後に発症しやすいといわれている関節痛や筋肉痛は、患部をマッサージすることで痛みが軽減する場合があります。背中や足に痛みを感じやすいですが、痛みは数日で消えることが多いとされています。
吐き気抗がん剤の投与後と数日後に吐き気の症状が出ることがあります。抗がん剤投与前に吐き気止めの投与も行いますが、投与後にも吐き気が続く場合は、吐き気止めの処方を検討しましょう。
白血球減少抗がん剤を投与することにより、白血球が一時的に減少し、約3週間後に回復します。その間、免疫力が低下するため、細菌による感染症にかかりやすくなります。38度以上の高熱が出た場合は医師に速やかに報告しましょう。
アレルギーパクリタキセルは投与中や投与後、カルボプラチンは投与回数が増えたころにアレルギー症状が出ることがあります。突然息苦しさを感じたり、身体に発疹を見つけたりした際は、すぐに医師に報告しましょう。

dd-TC療法の集中投与でがんの進行をおさえる 

今回は、dd-TC療法の特徴や使用法、副作用について解説しました。

dd-TC療法は、パクリタキセルとカルボプラチンを組み合わせた抗がん剤治療法であり、毎週抗がん剤治療を行う集中的な治療方法です。

がん細胞の成長を抑制する能力を持ちながらも、いくつかの副作用が存在するため、治療期間は、副作用を適切に管理する必要があります。

治療中は、うまく副作用に向き合っていくことが大切です。

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