日本人の3人に1人ががんで死亡する(※)と言われるくらい、がんは私たちにとって、とても身近な病気です。
特に、比較的若い年齢層である30代は、40~50代に比べるとまだがん罹患や死亡者数が少ないため、今まで以上にがんについて意識していくことが必要です。
この記事では、日本のがん統計から分かる30代におけるがんのリスクや特徴について解説します。
※引用:がんに関する統計|厚生労働省
1.30代のがん罹患について
国立がん研究センターでは、30代が1年間にがんと診断されるがんの数は約16,300例と推計されると発表しています。(2009-2011年の期間のがん罹患率を日本全体の人口に当てはめて計算)
30代は、15歳から20歳代の層とともにAYA世代(思春期・若年成人)と呼ばれています。
がんの罹患は40歳以上の層で増えていくため、30代はまだ若い層であるといえるでしょう。
しかし、子宮や子宮頸部、乳房などの部位は20~30代でも発症数が高いため、癌にかからないとは言い切れません。
30代のうちから積極的にがん検診を受けるなど、意識を持つことが大切です。
▼参考資料はこちら
2.30代の男女別がん罹患部位
ここでは、30代男女別のがん罹患部位は以下のとおりです。(※)
がん罹患部位(30代) | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 |
---|---|---|---|---|---|
男性 | 大腸 | 結腸 | 直腸 | 悪性リンパ腫 | 甲状腺 |
女性 | 子宮頸部 | 乳房 | 子宮 | 甲状腺 | 大腸 |
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
※2019年のデータを使用
▼参考資料はこちら
3.30代の男女別がん死亡部位
ここでは、30代男女別のがん死亡部位は以下のとおりです。(※)
がん死亡部位(30代) | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 |
---|---|---|---|---|---|
男性 | 大腸 | 胃 | 脳・中枢神経系 | 結腸 | 白血病 |
女性 | 乳房 | 子宮 | 子宮頸部 | 大腸 | 胃 |
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)
※2019年のデータを使用
▼参考資料はこちら
4.30代に多いがんの特徴とは
先ほどのデータをもとに、30代の男女別に見られるがんの特徴を解説します。
4-1.30代に多いがんの特徴:男性編
30代の男性に多いがんの特徴は、罹患数・死亡者数ともに大腸がん(大腸は大きく分けて結腸・直腸に分けられます)の割合が大きく出ています。
大腸がんの原因は以下のとおりです。
- 肥満
- 加齢
- 飲酒
- 喫煙
- 運動不足
30代は、働き盛りであり、お酒やカロリーの高い食事を摂ることや、運動不足などが体調に影響してくると考えられます。
カロリーコントロールや適度な運動、お酒の量を控えるなど意識することが大切です。
がんの死亡率では胃がんも高いため、大腸だけでなく適度に胃腸を休めてあげましょう。
また、大腸がんは加齢も関係しており、50代あたりからさらに罹患率が増えています。
大腸がんは女性にも多い病気のため、男女関係なく気を付ける必要があります。
▼参考資料はこちら
4-2.30代に多いがんの特徴:女性編
30代の女性に多いがんの特徴は、罹患数・死亡者数ともに婦人科系と呼ばれる子宮・乳房のがんが大きく出ています。
乳房にはしこりが出ることで気付く場合もありますが、子宮頸がんの場合は、がんになる前の状態では痛みや出血・おりものなどがないため、気付けないと言われていることから、検診を受ける必要があります。
子宮頸がんや乳がんの検診は、健康診断では定番となっていますが、会社員でない場合は自発的に検診を受けることで、早期発見できます。
子宮頸がんや乳がんは進行が早いため、セルフチェックや検診を忘れずに行い、違和感を感じたらすぐに医療機関を受診することが大切です。
5.30代のがんの予防と早期発見について
30代でのがん予防と早期発見の鍵は、健康的な生活習慣の維持と定期的な健康診断にあります。
禁煙やバランスの取れた食事、適度な運動は、特に大腸がんや乳がんのような生活習慣に関連するがんのリスクを減らすことに役立ちます。
また、多くのがんは初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な健康診断が非常に大切です。
がんは、遺伝要因も関係してくるため、家族にがんの既往歴がある方は定期的に検診を受けることで予防でき、早期発見にもつながります。
例えば、乳がんのリスクが高い女性は、若いうちからマンモグラフィー検査を定期的に受けることを推奨します。
会社員の方はもちろん、専業主婦やフリーランスも自発的に健康診断を受けることが大切です。
▼参考資料はこちら
30代は生活習慣の見直しと健康診断でがん予防を
30代におけるがん予防と早期発見は、健康的な生活習慣への改善と定期的な健康診断がポイントです。
がんは自覚症状がほとんどないため、ようやく気付いたときにはがんが進行していた、という事態もよくあります。
がんの早期発見のためには、体の変化に注意を払い、異常を感じた際にはすみやかに医師の診察を受けることが重要です。
30代は、働き盛りであり、ちょうど子育てが忙しい年齢層でもあります。
まずは普段の食生活などから見直し、健康診断を積極的に受けるようにしましょう。