アムルビシン単独療法とは?

アムルビシン単独療法は、細胞の分裂時にDNAの分裂が進まないようにする働きがある治療法です。

がん細胞が増えることを阻止し、やがて死滅させます。

アムルビシン単独療法は、乳がんや肺がんの治療に効果的であり、心臓への負担が少ない治療法です。

この記事では、アムルビシンの特徴や使用方法、さらには副作用について詳しく解説します。

目次

1.アムルビシン単独療法とは?

アムルビシンは、日本で開発されたアントラサイクリン系の抗がん剤です。

この治療法では、アムルビシンがDNAの複製による分裂を妨げることによって、がん細胞の増殖を阻害します。

アムルビシン単独療法は、心毒性が他のアントラサイクリン系抗がん剤と比較して低く、心臓への負担が少ない治療法として注目されています。

これは、抗がん剤が正常な細胞も含めて細胞分裂の速い細胞に影響を与えるため、副作用として骨髄抑制が強く出るといわれています。

2.アムルビシンの体内での働き方

アムルビシン単独療法は、アムルビシンを静脈内に投与することにより、がん細胞のDNA合成を阻害し、細胞の分裂と増殖を抑制します。

この治療により、小細胞肺癌に対しては約75%の奏効率が報告されており、非小細胞肺癌にも効果的です。

まれに点滴中に薬剤が入るときに感じる痛みである血管痛を感じる場合があり、その際はすぐに医療従事者に報告しましょう。

アムルビシン注の特性により、投与後に尿が赤く色づくことがありますが、体調への影響はないため、心配はありません。

3.治療における使用法と投与量

ここでは、アムルビシン単独療法の使用法と投与量について解説します。

アムルビシン単独療法の一般的な使用法と投与量について、詳しく見ていきましょう。

3-1.アムルビシン単独療法の一般的な使用法

アムルビシン単独療法は、DNAの合成を阻害し、がん細胞の増殖を効果的に抑制します。

この作用により、細胞分裂が活発ながん細胞に対して特に効果的です。

治療の目的は、がん細胞の成長を遅らせ、がんの進行を抑制することにあります。

アムルビシン単独療法の投与方法は、吐き気予防剤を15分のあとに抗がん剤5分、最後に生理食塩水15分の約1時間(※)にわたる点滴によって行います。

※準備時間なども含む

引用:アムルビシン単独療法の治療を受ける患者さんへ | 国立がん研究センター 中央病院

3-2.アムルビシンの投与量と周期

アムルビシンの投与量は通常、成人患者に対して体表面積に基づいて計算され、45mg/m²の割合で静脈内に投与されます。

この治療は3日間連続して行われた後、3~4週間の休薬期間が設けられ、これを1クールとして、数回くり返していきます。

その後、抗がん剤治療のサイクルは、患者の病状や体調に応じて調整されます。

抗がん剤名アムルビシン注
投与量45mg/m²
周期抗がん剤の投与は3日間連続して行われ、その後3~4週間の休薬期間が設けられます。これを1クールとして数回行います。
注意点投与時に血管痛を感じる場合があります。また、投与後は一時的に尿の色が赤く色づくことがあります。

4.アムルビシンの副作用

アムルビシン単独療法の主な副作用は、以下のとおりです。

副作用症状
吐き気・嘔吐抗がん剤の投与後と数日後に吐き気の症状が出ることがあります。抗がん剤投与前に吐き気止めの投与も行いますが、長く吐き気が続く場合は、栄養と水分の補給が大切になります。
脱毛抗がん剤の投与後、2~3週間後に発症しやすいでしょう。髪の毛が抜けると同時に頭皮が敏感になるため、摩擦や紫外線などの刺激から頭皮を守る必要があります。抗がん剤の治療が終了すると、再び発毛します。 
白血球減少抗がん剤を投与することにより、白血球が一時的に減少します。特に投与後7~14日は白血球が最も減少するため、免疫力の低下による感染症に気をつけましょう。
間質性肺炎肺が炎症することにより、発熱や咳の症状が出やすくなります。風邪症状にも似ているため分かりにくい場合がありますが、発熱や咳の症状が出た場合は医師に相談しましょう。
貧血貧血による、息切れや動機が起こる場合があります。なるべく激しい運動は控え、貧血がひどい場合は医師に相談しましょう。

アムルビシン単独療法は心臓への負担をかけずにがん細胞増加を阻止する

アムルビシン単独療法は、乳がんや肺がん治療において効果的であり、心臓への負担も少ないとされている方法です。

しかし、治療中の吐き気や白血球減少による感染症などの副作用のリスクに注意が必要です。

また、点滴による投与は、約1時間と比較的短く、投与される薬剤も吐き気予防剤と抗がん剤、生理食塩水とシンプルな流れです。

3日連続の治療ののちに休薬と、投与と休薬がしっかり分かれているため、通院治療しやすいところも大きな特徴といえます。

さまざまな副作用が想定されるため、アムルビシンを用いた治療時に何か体調で気になる点があれば、我慢せずに主治医に相談しましょう。

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