男性も乳がんになる?

乳がんは、一般的には女性が対象の病気というイメージが強いですが、実は男性も乳がんに罹患する可能性があります。

さらに、男性における乳がんは、女性の乳がんとは異なる特徴があります。

男性の乳がんは罹患率が低いことから症状に気付けないこともあるため、よく理解しておくことが大切です。

本記事では、男性の乳がんの特徴や原因、診断方法や治療について解説します。

目次

1.男性の乳がんとは?

乳がんは女性に多く見られる病気ですが、男性においても発症が確認されており、特に60代~70代に多いとされています。

男性の乳がんは全体の乳がんの約1%を占め、生涯罹患率も女性の8人に1人に比べて男性では1000人に1人と非常に低い状況です。

男性の乳房は女性よりも小さく、乳腺組織が少ないため、乳がんは主に乳頭付近に発生することが多くあります。

また、男性は乳がんへの意識が低い傾向にあるため、発見が遅れがちです。

そのため、診断時には進行がんであるケースが見られ、治療の選択肢が限定されることもあります。

女性の場合、エストロゲンなどのホルモンが乳がんのリスクを高めるとされていますが、男性の乳がんにおいてはホルモンの役割がまだ完全には明らかになっていません。

男性の乳がんは、1000人に1人と非常に低い割合で、主に乳頭付近に発生します。男性は女性に比べて乳がんに対する意識が低いため、発見が遅れるケースが多いとされています。

2.男性の乳がんの原因

乳がんは、男性にも女性と同様に乳腺組織が存在するため、乳房の大きさや存在に関係なく発生します。

そのため、少ないとはいえ男性にも乳がんのリスクは存在します。

主な原因として遺伝的要因や家族歴が挙げられ、特にBRCA1やBRCA2といった乳がんに関連する遺伝子に異常がある場合は、乳がんを発症しやすくなるといえるでしょう。

また、乳がんの家族歴がある男性では、乳がん発症のリスクが2倍になることが知られています。

さらに、以下の場合も、男性乳がんのリスクを高めるとされています。

・過去に胸部や乳房への放射線療法を受けた経験がある場合

・クラインフェルター症候群のように体内の女性ホルモン量が多い状態

これらのことから、乳がんは性別に関わらず注意が必要です。

3.男性乳がんの症状

男性の乳がんの主な症状には、乳首周辺のしこりと乳首の陥没があります。

しこりは乳首の近くに形成されることが多く、通常は痛みを伴わない硬い塊です。

また、乳首の陥没は、がん組織が乳首を内側に引っ張ることにより生じます。

男性の乳房組織は薄いため、がんの進行が早いといわれています。

そのため、しこりや乳首の変化には特に注意が必要です。

4.男性乳がんの検査

男性乳がんの検査では、以下のことを行います。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

4-1.触診

触診は、医師が患者さんの胸部に直接触れることにより、乳がんの初期兆候を探します。

この検査では、乳房や乳輪周辺にしこりや硬さ、皮膚の変化などがないかを確認し、しこりの大きさや形、硬さ、そして周囲の組織にどのように影響しているかを評価します。

触診は簡単ですばやくできるため、早期の異常を発見するのにとても効果的です。

4-2.生検

生検は、乳房の腫瘤に針を刺して採取した組織の一部を用いて、病理学的診断を行う検査です。

この検査により、がんの種類や攻撃性の程度、ホルモン受容体の状態などが明らかになります。

生検結果は、治療計画を立てる上での重要な基準となります。

4-3.超音波検査

超音波検査は、高周波の音波を使用して乳房の内部構造の画像を作成します。

特に、男性の乳房組織が比較的小さいため、超音波検査によるしこりや異常組織の明瞭な観察が必要です。

また、超音波検査は、しこりの位置や大きさ、性質を特定するのに有効であり、必要に応じて生検の対象部位を特定する際にも用いられます。

4-4.マンモグラフィー検査

マンモグラフィー検査は、X線を利用して乳房の詳細な画像を得る検査で、乳がんの検出において健康診断などでも広く用いられています。

男性の乳房は女性に比べて乳腺組織が少ないため、マンモグラフィー検査により異常箇所がより顕著に見える可能性があります。

また、カルシウムの小さな沈着やしこりまでも捉えることが可能であり、これらによって初期の乳がんが見つかることもある検査です。

4-5.CT検査・MRI検査

CT検査(コンピュータ断層撮影)とMRI検査(磁気共鳴画像法)は、男性乳がんの診断や治療計画の決定に役立ちます。

検査内容は、以下のとおりです。

検査名内容
CT検査体内の詳細な断層画像を通じてがんの広がりやリンパ節転移の有無を見つけるのに有効です。
MRI検査より高い解像度での画像提供により、乳房内の腫瘍の正確な位置や大きさ、周辺組織への影響をより詳細に評価します。

4-6.血液検査

血液検査は、がんに関連するマーカーの有無やレベルを調べるのに有効です。

また、肝機能や腎機能などを含む全身の健康状態が評価され、治療における重要な参考情報を提供します。

血液検査は、がんの進行度を推測する手がかりを与えるだけでなく、治療の効果をモニタリングする際にも役立つ手段です。

5.男性乳がんの治療

男性乳がんの治療方法は、患者さんごとの病期やがんの特性に応じて異なります。

初期の段階では、乳房温存手術やセンチネルリンパ節生検が適用されることがありますが、進行がんの場合は全乳房切除や広範なリンパ節除去が必要になることもあるでしょう。

また、ホルモン療法や抗がん剤治療、放射線治療においては患者さんごとの状況に応じて選択されます。

男性乳がんも定期検診で早期発見を

男性の乳がんの特徴や原因、診断方法や治療について解説しました。

男性の乳がんは、女性と違って定期的な検査もなく、気付きにくいため、進行した状態で見つかるケースが多いがんです。

これを避けるためにも、乳がんは、女性だけでなく、男性も罹患するものであるという認識をもっと広めていく必要があります。

特に、乳がんは遺伝的要因や家族歴も関わってくるため、男性でも該当する場合は、積極的に乳がん検診を受けることが大切です。

男性の乳がんを早期発見、治療できるよう、男性も乳がんはどのような病気なのかを良く理解しておきましょう。

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