がんは、日本における主要な健康問題の一つであり、30代、40代と年を重ねるごとに罹患・死亡率が増え、50代はより顕著になります。
そのため、年齢を重ねるごとにがんのリスクが高まることを理解することが大切です。
この記事では、50代に多いがんの特徴と予防の重要性を解説します。
1.50代のがん罹患について
50代では、がんのリスクがさらに高まる傾向にあり、50代男性全体の罹患数・死亡者数は、40代の約3倍となっています。
また、女性の罹患数は40代と比べてほぼ横ばいではありますが、子宮頸がんをはじめとする婦人科系がんはピークを過ぎて減少傾向にあり、それに反して大腸がんが増えていく様子がうかがえます。
この年代に多いがんの種類は、大腸がん、肺がん、胃がん、乳がんなどです。
これらは生活習慣や遺伝的な要因に影響されることが多くあります。
例えば、大腸がんは食生活の乱れや肥満が、肺がんは喫煙が主なリスク要因です。
50代でがんと診断されるケースの中には、食生活や喫煙など、若い頃の生活習慣が影響している場合が少なくありません。
したがって、50代になると、定期的な健康診断の重要性が増し、生活習慣の見直しを通じて、がんのリスクを減らす努力が必要です。
2.50代の男女別がん罹患部位
ここでは、50代男女別のがん罹患部位は以下のとおりです。(※)
がん罹患部位(50代) | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 |
---|---|---|---|---|---|
男性 | 大腸 | 結腸 | 胃 | 直腸 | 肺 |
女性 | 乳房 | 子宮 | 大腸 | 結腸 | 子宮体部 |
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
※2019年のデータを使用
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3.50代の男女別がん死亡部位
ここでは、50代男女別のがん死亡部位は以下のとおりです。(※)
がん死亡部位(50代) | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 |
男性 | 肺 | 大腸 | 胃 | 膵臓 | 結腸 |
女性 | 乳房 | 大腸 | 子宮 | 結腸 | 膵臓 |
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)
※2019年のデータを使用
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4.50代に多いがんの特徴とは
先ほどのデータをもとに、50代の男女別に見られるがんの特徴を解説します。
4-1.50代に多いがんの特徴:男性編
50代の男性に多いがんの特徴は、罹患数・死亡者数ともに大腸がん(大腸は大きく分けて結腸・直腸に分けられます)の割合が大きく出ています。
この年代で特に罹患率が高いのは肺がん、大腸がん、胃がんなどです。
一方、大腸がんと肺がんは、不健康な食生活や喫煙などの生活習慣が主なリスク要因です。
また、50代になると膵臓がんによる死亡率も高くなってきます。
膵臓がんは、がんの発見が見つけにくい部位であり、ある程度進行してしまってからの発見が多くあります。
また、50代男性におけるがんの罹患数・死亡者数はそれぞれ40代の約3倍になっているため、予防や健康診断などによるがんの早期発見がとても大切です。
4-2.50代に多いがんの特徴:女性編
50代の女性に多いがんの特徴は、罹患数・死亡者数ともに婦人科系と呼ばれる乳房・子宮のがんが大きく出ています。
特に乳がんは50代女性に多く見られ、ホルモンの変動や家族歴が関連しています。
40代に比べ、子宮がんの罹患数はやや減少していますが、それでも割合的には多い状態のため、予防や検診は必須です。
また、女性も大腸がんの罹患・死亡数がともに件数や割合が非常に高くなります。
50代女性の罹患数は、40代とほぼ横ばいですが、死亡者数は40代の約2倍となっており、がんの早期発見の重要性がうかがえます。
5.50代のがんの予防と早期発見について
50代でのがん予防は、主に健康的な生活習慣の維持と定期的な健康診断に焦点を当てることです。
どの年代にも当てはまりますが、禁煙、バランスの取れた食事、定期的な運動、ストレス管理は、がんを含む多くの病気を予防するために効果的とされています。
食事においては、油物や高カロリーのおかずはほどほどにし、野菜や果物、肉・魚などのたんぱく質、カルシウムなどをバランスよく摂取することが大切です。
また、一日の中で軽く運動することも大切です。
特に、肥満と診断された方は大腸がんなどに繋がってしまう恐れがあるため、日頃から積極的に運動するよう心がけましょう。
また、この年代では定期的な健康診断がさらに重要になります。
50代女性の罹患数・死亡者数がともに1位である乳がんに関しては、マンモグラフィー検査を受けることで、早期発見につながります。
普段の生活改善と、定期的な検診で健康を維持しましょう。
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50代は毎日の運動習慣や食事に気を付けてがん予防を
50代は、がんの罹患者数・死亡者数がともに増加する年代であるため、がんの予防と早期発見に特に注意を払うべき時期です。
毎年の健康診断など、定期的な検診はもちろんのこと、バランスの取れた食事、定期的な運動、禁煙など健康的な生活習慣の改善と維持が非常に重要です。
また、体の変化に注意を払い、違和感を感じたらすぐに医療機関を受診することで、がんの早期発見と治療が可能になります。
以上のことを意識し、50代でも健康でイキイキした毎日を過ごしましょう。